ガム市場凋落の原因は?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
ガムは私たちの日常生活において、とても身近なものであり、愛されている嗜好品の1つである。ガムは食後の口臭対策となるし、スポーツ選手にとっては緊張を緩めてくれるものである。ガムは気分転換したいときや、眠気を覚ましたいときなどに、いつも登場する身近な商品でもある。そんな製菓業界を代表する商品だったガム市場で「ガム離れ現象」が起きている。
「歯の健康に良くない」「ガムはごみになる」など、マイナスイメージの増加と、コーヒーなどの代替食品の登場で、ガム市場が縮小しつつあるのだ。2010年、3,106億ウォンだった韓国のガム市場規模は、2011年には2、998億ウォンに減少し、3、000億ウォンの大台を下回るようになった。続いて、2012年のガムの市場規模は2、794億ウォンに、2013年には2、600億ウォンに、2016年には2、366億ウォンに減少し、ガムの市場規模は6年で24%も縮小している。
ガム市場が縮小しているのは、韓国市場だけではない。米国、日本などの先進国でも、同様の現象が発生している。日本市場の場合、ガム小売市場のピークは、2004年の1、881億円。その次の年から市場が縮小に転じ、2017年にはピーク時に比べて4割以上縮小し、小売市場規模は1、005億円となっている。
以前は食後にガムを噛むことが多かったが、最近食後はガムよりもコーヒーが身近になり、それは統計にも如実に表れている。コーヒーの韓国市場規模は2007年に1兆5,880億ウォンだったが、2017年には4兆6000憶ウォンとなっている。とくに、コンビニで販売されているカウンターコーヒーは、ガムの地位を脅かす存在になりつつある。セブンイレブンが最初に導入したカウンターコーヒーの販売額は、13年の1,012億円から16年には92%増の1,940億円となっている。
韓国に最初にガムが登場したのは1950年代である。朝鮮戦争後に韓国に米軍が駐屯するようになった際に、ガムが韓国に紹介された。
韓国最初のガムは、ヘテ製菓が1956年に市販した風船ガムである。当時は戦争後だったので、ガム生産に必要な原料も、技術力も不足していた時期でもあった。ヘテ製菓は自社で製作した設備を使って、韓国初の量産ガムである「ヘテスーパーミント」を1959年に市場に出している。1967年にはロッテ製菓が設立され、ガム市場の成長が加速されることになる。ロッテは現在韓国ガム市場の最大手で、7割以上の市場シェアを占めている。
ロッテ、ヘテ、オリオンが韓国のガムの3大メーカ―である。2000年に登場した「キシリトールガム」は、50年間続いた韓国のガム市場に大きな変化をもたらした。ロッテ製菓が市販した「キシリトールガム」は、ガムが歯に悪いという定説をひっくり返し、歯に良いガムとして売り出され、大ヒット商品となった。
(つづく)
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