枝野憲法審査会に警戒必要
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NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「憲法問題の現状について、全国民が正確な情報を得て危機意識を高めることが極めて重要である」と訴えた4月27日付の記事を紹介する。
自民党が憲法改正草案を発表したのは2012年4月28日。13年前のこと。当時、自民党は野党に転落していた。憲法改正草案と言うが、とても「改正」と言える代物でなかった。「改憲」ではなく「壊憲」。現在の日本国憲法を亡きものにしようとする提案だ。
日本国憲法の基本原理がある。
国民主権
基本的人権の尊重
戦争放棄
この基本原理を変えるもの。憲法は権力者の暴走を防ぐ砦。日本国憲法は第99条に天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。と定め、国務大臣、公務員に憲法尊重擁護義務を課している。しかし、自民党壊憲案では第102条に全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。という条文を置く。国民を縛る憲法としている。これは大日本帝国憲法上諭に「臣民ハ此ノ憲法ニ対シ永遠ニ従順ノ義務ヲ負フヘシ」と記述されていることに通じるもの。
基本的人権の位置付けも根本が変わる。日本国憲法第13条には「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」とあるが、自民党壊憲案では同じ第13条に「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。」と規定される。「公益及び公の秩序に反しない限り」「最大限」尊重されなければならない、に変わる。条件付きの権利付与である。
日本国憲法第21条に「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」とあるが、自民党壊憲案第21条には「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」が第2項に記述されている。制限付きの権利付与である。
この構造は大日本帝国憲法と同じ。大日本帝国憲法は第29条に日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作印行集会及結社ノ自由ヲ有スと定めた。「法律の範囲内」で「言論著作印行集会及結社ノ自由ヲ」付与したが、ここにある「法律」が「治安維持法」だった。
治安維持法第1条は「国体ヲ変革スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務ニ従事シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ5年以上ノ懲役若ハ禁錮ニ処シ情ヲ知リテ結社ニ加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ為ニスル行為ヲ為シタル者ハ2年以上ノ有期ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス」とされた。法律の範囲を超えて「言論著作印行集会及結社ノ自由ヲ」行使した者に死刑が執行された。自民党壊憲案は大日本帝国憲法に改変する側面を有する。
『ガーベラの風』動画シリーズで「ヤバイぞ憲法改正!立憲・枝野が主導する『憲法審査会』が危ない!?あまりにも危険すぎる憲法改正発議!」を4月25日にライブ配信した。アーカイブ動画を閲覧できるので、ぜひご高覧賜りたい。
https://www.youtube.com/live/2FsXfl842GY※続きは4月27日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「枝野憲法審査会に警戒必要」で。
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