2024年11月30日( 土 )

米国のファーウェイ潰しの真の狙いは?(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 通信設備世界最大手・中国のファーウェイ(華為技術)に対する米国政府の動きに世界の注目が集まっている。ファーウェイは米中貿易戦争の標的とされ、米国政府はファーウェイを規制する動きに乗り出している。なぜ米国政府は米中貿易戦争をしかけ、その過程でファーウェイを潰そうとしているのか、今回はその背景を取り上げてみよう。

 中国企業といえば一時期、偽物の製造と技術盗用というイメージが付きまとっていた。2015年の偽物の世界市場規模は1兆75億円だが、そのほとんどが中国や香港で生産されていた。

 しかし、そのような中国企業のイメージは現在大きく変わろうとしている。その代表格といえるのが、中国の非上場民間企業であるファーウェイだ。ファーウェイは技術を真似するレベルからスタートし、現在は世界最大手の通信設備企業として成長している。ところが、ファーウェイは米中貿易戦争のターゲットとされ、その対応次第では、企業の命運が分かれてしまいそうな正念場を迎えている。

 米中貿易戦争は2018年7月、米国が中国の産品に340億ドル規模の25%の制裁関税を課すことによって始まった。中国も報復措置として同額の米国の輸入品に25%の報復関税を課した。

 米中貿易戦争が激化していく中で、米国の司法省はファーウェイと財務最高責任者(CFO)である孟晩舟(メン・ワンジョウ) 副会長を提訴した。それだけでなく、米国政府は同盟国にも同社の製品の使用を控えることを要請している。実際に米国政府の要請によって、ニュージーランド、オーストラリア、日本などは情報漏洩を理由にファーウェイの設備の導入を禁止している。

 それでは、ファーウェイはどのような会社なのか。ファーウェイは1987年、中国の深セン市で中国人民解放軍出身の創業者任正非(レン・ジェンフェイ)会長が、2万1,000人民元の資本金で通信設備会社として設立した。それから30年、ファーウェイは2018年全世界通信設備市場シェア1位(28%)となった。

 米国の市場調査会社であるHISによると、ファーウェイについで2位はエリクソン(27%)、 3位はノキア(23%)、 4位はZTE(13%)、 5位はサムスン電子 (3%)となっている。ファーウェイがこのように成長できた理由として研究開発に注力したことが挙げられている。18万人の社員のなかで45%に該当する8万名が研究開発部門の人材で、年間売上高の10%以上を研究開発費に投資し、研究開発費は世界3位にランクされているほどだ。 とくに5Gにおいてファーウェイは具体的な成果を出している。現在、世界の50社以上の通信会社と、5Gの商用化テストを進めており、66カ国の154社の通信事業者と、5G技術の現場試験もやっている最中である。

(つづく)

(後)

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