福岡を活性化させた傑物伝 アパマングループ代表大村浩次氏(9)
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アパマンショップのネットワークが広がる
フランチャイズ(FC)のネットワークは全国に急速に広がり、FC加盟店は2002年に500店舗をこえた。FC加盟店からの相談や提案はFC会議で共有して、スピード感をもって対応することで店舗を運営しやすいサポート体制をつくった。
不動産の賃貸や管理の方法は、それぞれの地域で習慣やしきたりがある。全国にネットワークを広げるなかで、エリアごとに地域にあったサービスをつくっていった。たとえば、オペレーションフィールドカウンセラー(CFC)をFC本部において地域ごとにきめ細やかに対応するなど、APAMANグループとして各地域のニーズにあうサービスができるように工夫をかさねた。
また、いままで地域ごとにわかれていた不動産賃貸業界を結ぶ全国ネットワークをいかして、スケールの大きい広告戦略ができるようになった。テレビCMやインターネット、情報誌などのメディアで全国のキャンペーンを行い、地域や店舗ごとの地道な広告戦略と組み合わせて集客力を高めた。日本最大級の掲載物件数から圧倒的な集客力をほこる賃貸物件検索サイト「アパマンショップ」や業界に先がけて取りくんだ携帯サイトから部屋を探している人が店に足を運ぶ流れをつくりあげたのだ。
FCネットワークが広がったことをみて、2005年頃から直営店舗の展開を始めた。店舗のサービスをさらに良いものにするために、直営店をつくることで不動産オーナーと接する機会を増やして、多くの不動産情報を集めたいと考えたためだ。また、あたらしいサービスを始めるときに、全国の店舗で使うまえに直営店でモニタリングができるようになった。たとえば、入居するときに便利な引っ越しや火災保険などのサービスをおすすめすることだ。直営店でスタートして評判がよかったサービスを、全国のFC店舗にも広めていった。直営店をつくってもFC加盟店のビジネスをこれまでどおり続けられるように配慮して、FC加盟店の近くには直営店を出さないなど、FC加盟店と直営店とでエリアをわけたことで、FC店舗と直営店舗をあわせた営業拠点数は、賃貸不動産業界で日本一になった。
全国の不動産情報ネットワークをいかす
アパマングループが強みとしているのは、全国に広がる店舗とともに約20万人の不動産オーナーとの情報ネットワークだ。民間の賃貸物件では、管理会社を通さずにオーナー自らが管理している物件が全体の約60%を占める(総務省2003年度「住宅・土地統計調査」による)ことに目をつけて、不動産を管理するプロパティ・マネジメント事業を拡大することに力を入れた。
プロパティ・マネジメント事業では、入退去にともなう手続きや家賃の集金やトラブル対応などの物件の管理とともに、オーナーから賃貸物件を借り上げて家賃収入を保証して、入居者に貸すサブリースをしている。アパマンショップのブランド力とネットワークを生かして入居率を高め、不動産をうまく活用して資産価値を高められるように不動産情報データベースを使ってオーナーの賃貸経営をサポートしてきた。
そして、2006年7月にはワンルームマンションを中心とした不動産賃貸事業やサブリースを中心とした賃貸管理事業を全国で展開する(株)インボイスRM(現・(株)アパマンショップリーシング)のM&Aを行い、サブリースや賃貸仲介のサービスを充実させた。
小倉興産(株)をグループ子会社化し、事業を拡大
2005年3月には、子会社の(株)ASアセットをとおして小倉興産(株)を子会社化した。小倉興産(株)の不動産賃貸のノウハウと保有する不動産・信用をAPAMANグループとして一体化することで、賃貸事業を大きくしたいと考えたためだ。
小倉興産(株)のM&Aにより事業のスケールが広がり、2004年度に約184億円だった売上は、2005年度に約617億円、2006年度に約498億円と大きく伸びた。そして、不動産情報ネットワーク事業・アセットマネジメント事業・リーシング&プロパティ事業の3つの事業を会社分割して持株会社体制に移すため、小倉興産(株)を吸収合併して、2006年7月に(株)アパマンショップホールディングスに商号を変更した。
IT技術を高めてウェブサイトをさらに使いやすく
全国にアパマンショップ店舗を広げるとともに、インターネットを使ったネットワーク技術を高めるために2005年11月に(株)システムソフトのM&Aを行い、子会社化した。賃貸物件の仲介や管理、オーナーの資産管理などの賃貸不動産業のすべての業務にかかわるシステムに投資して、部屋を借りる人や不動産オーナーにとって使いやすいサービスを実現させた。
たとえば、パソコンから賃貸物件検索サイトをみると、今までにみた部屋の情報からおすすめの部屋が表示される「レコメンド機能」や、引っ越し先のイメージができてプランが立てやすいようにまちの「住」に関する情報が表示される機能をつくり、ユーザーが使いやすくなるように工夫した。
また、社内のシステム管理や開発に力を入れて、不動産会社としてはほかにない100名以上の組織体制をつくった。そして、全国のFCネットワークから賃貸物件の情報データベースを充実させて、業界最大級の賃貸物件数を掲載する検索サイトをつくりあげた。
アパマンショップの海外展開を開始
海外に駐在している人が現地で部屋を借りるときのニーズを取りこみ、日本にいるときのようなきめ細やかなサービスと日本人が住みやすい部屋の情報を提供できるように、賃貸仲介事業の海外展開を始めた。2005年2月には中国に現地法人の百特豪世房地産咨询(上海)有限公司を設立し、2008年6月にはタイに現地法人のApamanshop (Thailand) Co.、 Ltd.を設立した。そして、アパマンショップブランドのFC海外展開の準備を始めた。
【取材・文・構成/石井 ゆかり】
法人名
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