【レオパレス21の施工不備問題】職人座談会 職人が語る現場の事情~問題の裏側に潜むものとは――(2)
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いったい何が違う?レオパレス21vs大東建託
――現場からすると、今回みたいな施工不備の物件があるというのは、当たり前といえば当たり前で、皆、わかっていたけれど言わなかっただけ、ということですよね。
C 当たり前といえば当たり前ですね。とくにレオパレス21は昔から、「壁が薄い」とか「隣の声がモロに聞こえる」とか、結構いろいろと言われていましたよね。
B 実際にこういう問題については、数年して出るか出ないかという確率も踏まえたうえで、「おそらく大丈夫」「いいからやってしまおう」「問題が出てから考えよう」というような安易な判断をしてしまうことが、この業界では往々にしてあります。
A レオパレス21の場合は、今はどういうかたちでやっているのかはわかりませんが、おそらく1件1件の入札制だと思います。そうなると、我々の業界では“鉄砲を撃つ”と言っているのですが、下をくぐって金額を抑えてくる業者も出てきます。というのも、レオパレス21の物件は、普通の分譲マンションなどに比べるとつくりが単純で、ある意味で簡単といえば簡単なので、そこそこの工務店でも施工できてしまいますから。
――レオパレス21のような賃貸の物件に関しては、「そんなに長く住むわけでもないから」というような意識が、つくる側にも、そして入居する側にもあるように思います。
C 賃貸でも大手の、一括借り上げで20~30年とか保障するようなところは、きちんと物件がもつように、それなりにしっかりと施工しますし、現場の担当者たちもそれなりに知識をもっています。たとえば大東建託(株)の場合は、鉄骨・木造だと建物が5~6パターンで決まってしまっていますし、やっている業者たちも登録制なので、ある程度は皆が施工について理解していますね。
――物件として見たときに、レオパレス21の物件と、割としっかりとしているといわれる大東建託の物件とでは、どういったところが違うのでしょうか。
B もともとの設計はどちらも似たり寄ったりだとは思いますが、やはり一番大きく違うところとしては、今出たように業者が登録制なので、「ここはこう処理しないといけない」など、業者側がその建物について十分と言っていいくらい習熟していることが挙げられますね。また、施工不良などを何度も起こすと登録業者から排除されてしまうという厳しい面もありますから、やはりどこも、しっかりと施工せざるを得ません。そこが、レオパレス21と大東建託の物件とでは、大きく違ってきているところだと思います。
C 大東建託の場合は、正直に言いますと「儲かる」というほどの単価ではないのですが、登録制なので、次から次に仕事が来ますし、職人を抱えているところにとっては、営業せずに回していけるというメリットはあります。「とりあえず遊ばせておくよりはいいか」というくらいのギリギリの単価ではありますが、ずっと面倒を見てもらえるというのは良いですね。
あとはキャッシュの面ですね。いまだに中小零細個人に手形が回ってくる業界なので、リスクを考えると、どれだけの金額でも、月末締めの翌25日にキャッシュがもらえるという条件は、業者にとっては大きいかと思います。
ただし一方で、とにかく検査がうるさいですし、業者の検査もあります。私も以前登録していたときは、業者だけで月に何件かやっているところを検査で回って、施工不備などを指摘していました。これが、「全部OK」じゃダメで、必ず2~3点は問題があるはずということで、何かしらの指摘事項を各業者が挙げないといません。
A 人の揚げ足をとらないといけないので、それが一番嫌ですよね(苦笑)。
C でも、それを必ずしなければなりません。「現場が100%完璧というのは、まずあり得ない」といった考え方なので・・・。
B そうした場合にまずターゲットになりやすいのは、現場が汚いところですね。
(つづく)
【文・構成:坂田 憲治】関連キーワード
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