福岡を活性化させた傑物伝 アパマングループ代表大村浩次氏(24)
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「紙」の電子化をすすめる
賃貸物件を紹介し、賃貸物件を管理する仕事では、とても多くの「紙」が使われている。部屋を借りる人や不動産オーナー、取引業者との情報のやりとりは、紙ベースの書類だからだ。2001年に電子署名法が施行され、賃貸借契約の更新などの不動産業界で使われる書類にも電子署名ができるようになった。デジタル化やペーパーレス化が進むなかで、不動産業界では入居するときの契約や更新などの手続きには紙の書類を使う習慣が残っており、書類をやりとりすることで、契約するために時間やコストが多くかかっていた。
APAMANグループは、ドキュサイン・ジャパン(株)と提携し、ドキュサインがつくった書類のやりとりをペーパーレス化するシステムを使うことで、「紙」の電子化を実現させている。契約書のやりとりや、契約のために遠方から店舗に足を運ぶことなく、どこにいてもパソコンやタブレットなどから部屋を借りる契約ができるようになった。契約にかかる時間も短くなったという。大村社長は、不動産あっせん・管理業務で、部屋を借りる人や不動産オーナー、取引業者と店舗がやりとりする書類を完全にペーパーレス化することを目指している。デジタル化することで、APMANグループに関わるすべての人にとって使いやすいサービスをつくりたいと考えている。
外国人の部屋探しのニーズが増えている
近年、日本に住む外国人が増えている、昨年12月の出入国管理法の改正により、さらに多くの外国人が住むようになると予想されるため、外国人が部屋を借りるニーズも増えると見込んでいる。外国人が日本で部屋を探すときにハードルになるのは、言葉の壁だ。APAMANグループは、ふだん使っている言葉で部屋を探せるサービスをして、外国人のお客さまが部屋を借りやすい仕組みをつくりたいと考えている。
全国のアパマンショップのすべての店舗で、英語や中国語などの9つの外国語に対応できる(株)インバウンドテックの通訳サービスを導入している。店舗で部屋の紹介を受けるときには、タブレットなどを使って、AI(人工知能)や翻訳オペレーターがビデオチャットで同時に通訳するサービスを使う。また物件を内覧するときには、電話通訳サービスを使い、電話の問い合わせがあるときには、外国人のお客さまと店舗スタッフの話を通訳オペレーターが電話通訳する仕組みを使い、外国語でコミュニケーションを取ることができるようにしている。
アパマンショップのブランド戦略
アパマンショップのブランドづくりは、お客さまに喜んでもらえることを積み重ねていくことがすべてだと感じているという。全国のアパマンショップではお客さまにアンケートはがきを渡しており、毎日多くのお客さまの声が届く。大村社長は、お客さまの声から会社が変わっていくことが一番よいと感じているためだ。たとえば、仕事帰りの遅い時間に寄れるように、もう少し遅い時間まで店舗を営業してほしいという声、店舗の掃除が行き届いていなかったという声、物件を見に行くときに乗る車は、この車種のほうが良いという声などだ。1つひとつのサービスがお客さまの声で変わっていくことで、お客さまに便利で使いやすいサービスを提供したいと考えている。
APAMANグループの今後の事業
APAMANグループでは、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などのITシステムを生かしたクラウドテクノロジー(Cloud technology)事業、賃貸物件のあっせんやプロパティ・マネジメントを行うプラットフォーム(Platform)事業、コワーキングスペースなどを運営するシェアリングエコノミー(Sharing economy)事業の3つの事業を展開しているが、今後はどの事業も伸ばしていきたいという。
なかでも、シェアリングエコノミーは、スマートフォンが広がったことで誰がどこでモノを使っているかという情報を伝えやすくなり、1つのモノを多くの人で共有しやすくなった。そして、ほとんど使わないモノを買うよりも、買わずにシェアしてモノを使いたいというニーズも増えている。社会そのものが変わったため、モノをもたずに人と共有するシェアリングエコノミーは、これからとくに伸びる市場と見込んでいる。APAMANグループでは、コワーキングスペースや民泊、シェア駐車場などの多くの事業を展開しているが、たとえばマンションにある宅配ロッカーをシェアできるサービスなど、生活のなかで便利なものはこれからもビジネスとして立ち上げていきたいという。
APAMANグループは、これからグローバル事業をさらに広げたいと考えている。コワーキングスペース・fabbit global gateway(ファビット・グローバル・ゲートウェイ)を、東京や福岡、大阪、海外では米国や香港などに展開している。スタートアップ企業が海外にビジネスを広げる支援をするほか、海外の企業が日本で活躍できる玄関口として支援する。また、賃貸あっせん事業では、海外に住んで仕事をする日本人に部屋を紹介できるサービスを充実させるため、アパマンショップのフランチャイズ(FC)店舗を中国や台湾、フィリピン、マレーシアの海外13拠点に展開している。今後はアジアの2万人以上が住む都市にFC店舗のネットワークを広げて、海外で日本人が部屋を見つけるサポートをしたいと考えている。
(つづく)
【取材・文・構成:石井 ゆかり】法人名
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