2024年11月30日( 土 )

デジタル課税を通じてGAFA規制に動く日本政府の時代錯誤(後編)

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「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年4月12日付の記事を紹介する。

 こうした指摘を受け、日本政府は本年6月末に大阪で開催されるG20首脳会議の機会に、世界的な巨大IT企業に対する「デジタル課税」に関する国際的なルール作りを主導する考えである。今回の自民党によるヒアリングはそれに向けての提言をまとめるためのもの。具体的には、「巨大IT企業の監視機関の創設」「中小企業に対する不公正取引の防止策」「不当な個人データ収集の適正化」が提言の柱になる見込みだ。

 日本政府は経済産業省、公正取引委員会、総務省が合同で「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」を発足させており、本年6月までにGAFAの規制策を取りまとめ、わが国の成長戦略に盛り込む方針を固めている。公正取引委員会では年初から「デジタル・プラットフォーマーの実態に関する調査」を始めており、中小企業からの情報提供を求めている最中である。

 要は、GAFAのような巨大企業がデータを独占し、中小企業を圧迫し、公正な競争環境を阻害している、との危機感が沸き上がっているわけだ。このままでは、ネット上の競争において、日本企業はプラットフォームを海外に握られ、全てのビジネスがGAFA経由でなければ成り立たなくなりかねない。実に由々しい事態といえよう。

 とはいえ、自民党の要請に応じてヒアリングに臨んだGAFA各社の担当者は一様に疑念や批判を否定し、「意図的に独占的な対応をしているわけではない。競争相手は多い。透明性と公正性に配慮し、企業努力を続けている」と自己弁護を繰り返した模様だ。 

 しかし、こうした巨大企業が圧倒的に有利な立場を利用し、取引企業に対して不公正な契約を強要しているとの懸念から、日本政府は独占禁止法の「優越的地位の乱用」条項を適用することで規制を図ろうとしている。加えて、独禁法を補完する方向で、「重要な取引条件には開示を義務付ける」ことや、「違反した場合の課徴金の引き上げ」も検討中である。とはいえ、こうした規制ありきの議論は後追いに過ぎない。

 では日本企業がGAFAとの勝負に勝つにはどうすればよいのか。日本政府が公正な競争環境を整えるのは当然のこと。とはいえ、政府が日本企業を保護するがゆえに、外国の企業を独禁法で排除するようなことになっては日本市場は衰退するしかなくなる。肝心なことは日本企業の国際競争力を高めることである。

 幸い、日本は世界規模で展開中の「第4次産業革命」のうねりの中で独自の路線を追求できる立場にある。即ち、GAFAが得意とする「バーチャルデータ」の分野と対極にある「リアルデータ」の収集と蓄積で勝負をかけることが日本のIT企業に求められる。

※続きは4月12日のメルマガ版「デジタル課税を通じてGAFA規制に動く日本政府の時代錯誤(後編)」で。


著者:浜田和幸
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(前編)

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