2024年12月23日( 月 )

リチウムイオン電池の限界と次世代のバッテリー開発競争(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 スマホの登場によって、いつでもどこでもパソコンを携帯しているのと同じようになり、私たちの生活が大きく変わることとなった。加えて、これまでに見たことがないような新製品が続々と誕生しているし、電気自動車の普及も本格的に始まろうとしている。このような私たちの生活の進歩に最も貢献してくれている陰の立役者は、実はバッテリーなのである。

 私たちの生活はスマホから電気自動車まで、バッテリーを用いた製品で溢れている。必然的にバッテリー性能が向上すれば、それを搭載した製品の性能も向上することになる。

 現在主流のリチウムイオンバッテリーは、発熱の問題や、大容量化など、さまざまな限界を抱えており、それを解決すべく次世代のバッテリー技術の研究が、世界各国で活発に進められている。今回は次世代バッテリーの開発状況について取り上げてみよう。

 最初の電池である鉛蓄電池は1859年にフランス人のガストン・プランテにより発明された。現在主流のリチウムイオン電池は、1991年にソニーが初めて商品化している。

 リチウムイオン電池は、簡単にいえば、正極と負極の間に電解液があり、そのなかをリチウムイオンが行ったり来たりする構造となっている。充電は正極から負極にリチウムイオンが電解液中を移動し、放電は負極にたまったリチウムイオンが、電解液中を通過して、正極に移動することで行われる。充放電はこの繰り返しである。

 電池のなかで一番性能が良いリチウムイオン電池も、改善されてはきたものの、電気自動車などに使うには限界がある。まず、リチウムイオン電池の安全性についての問題がある。リチウムイオン電池は、電解液に有機化合物の液体が使われている。有機化合物の電解液は、可燃性なので、外部から力が加わったり、過当な負荷がかかったりすると、電池の温度が上昇する。温度の上昇は最悪の場合、爆発、発火を引き起こす。二番目に、エネルギー密度の問題がある。ニッケル水素電池の体積あたりエネルギー密度は70Wh/kgで、それに比べると、数倍以上のエネルギー密度を現在のリチウムイオン電池は実現している。しかし、現在のエネルギー密度では、電気自動車のバッテリーのサイズはどうしても大きくなり、高エネルギー密度のバッテリー開発が求められている。

 現在のリチウムイオン電池の構造であれば、限界理論値は500wh/kg台と考えられていて、限界は近づきつつある。バッテリーの高容量化、小型化、軽量化を実現するためにも、これは解決しないといけない課題である。それでは、このような現状の課題を解決するために、どのような研究開発が進められているのだろうか。現在一番注目を集めていて、一番先に商用化が予想されるのは、全固体電池だろう。

(つづく)

(後)

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