2024年11月24日( 日 )

『東アジア友愛フォーラム』~「一帯一路」構想が「友愛」理念で新結合!(後)

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<日本はAIIBと「一帯一路」に積極的に参加すべきである>

 午後の部は、午後1時から2時までがパネル討論会(1)「一帯一路と運命共同体」(進行:中川十郎・日本ビジネスインテリジェンス協会会長)で、パネリストは蘆載憲・韓国一帯一路研究院共同院長、曹衛・匯景国際集団有限公司副総経理、劉栄軍・北京師範大学法学院教授、林慧春・北京師範大学一帯一路学院教授、朽木昭文・国際アジア共同体学会理事長・日本大学生物資源科学部教授、小松昭夫・小松電機産業社長であった。

 午後2時10分から3時10分まではパネル討論会(2)「一帯一路と新しいビジネス展開の可能性」(進行:徐静波・(株)アジア通信社代表取締役社長)で、パネリストは朴 哲・北京世博投資集団董事長・北京市政協委員、李山・中国全国政協委員・シルクロー ド計画研究センター理事長 、張伯清・贝罗尼集団董事長、近藤加奈子・DENBA(株)常務執行役員、椛澤優奈・(株)リエイ取締役・(株)アジアリエイ社長、松延洋平・元農水省種苗課長であった。

 パネル討論会に続いて、陳昌珠・世宗研究所日本研究センター長、王振中・中国社会科学院経済研究所元副所長、谷口誠・元国連大使・北東アジア研究交流ネット代表幹事3人の講演が行われた。

谷口 誠 元国連大使

 当日最後の登壇者となった谷口元国連大使は、OECD(経済協力開発機構)時代の経験を踏まえ、1日をまとめるようなかたちで次のように話した。

 東アジア関連の会議には多数出席の経験がありますが、本日のような熱気は初めて感じました。従来までの日本外交は対米依存・従属一辺倒でした。しかし、私たちはアジア人です。東アジアやASEAN諸国でまとまらずに、遠く太平洋を飛び越えてあまりにもアメリカに依存・従属するのはおかしいことです。とくに今のアメリカ、ヨーロッパは昔と比べれば混乱しています。

 2060年(OECD報告書から)の人口予測はインドが第1位で15億人、中国が第2位で10億人です。インド、中国、アメリカが世界をリードします。日本は早く目覚め、対米依存・従属一辺倒な外交政策を転換、中国、インド、そしてEUとも仲良くやっていかなければなりません。とくに一衣帯水の大国である中国とは、より仲良くやっていく必要があります。私は当初から、日本はAIIBにも「一帯一路」構想にも積極的に参加すべきと考えています。(一部抜粋)

<第2回はぜひ中国(北京)での開催を検討したいと表明>

 鳩山大会名誉実行委員長の閉会挨拶(総括)を経て、参加者有志約150名は会場を移し、講師、来賓を囲んでの和気藹々の懇親、夕食を楽しんだ。この席で胡必亮・北京師範大学一帯一路学院執行院長から「第2回はぜひ中国(北京)での開催を検討したい」旨の意思表明があった。

 翌10日(水)には、午前9時30分~午後5時まで『一帯一路友愛学術・ビジネスフォーラム』(共催:東アジア共同体研究所、中央大学、一帯一路陝西友愛研究所、日本ビジネスインテリジェンス協会、日本シニア起業支援機構、アジア現代経済研究所『アジア現代経済』編集局)が御茶ノ水の中央大学駿河台記念館で開催、有識者約70人が参集した。 

西安・楊凌自由貿易試験区、先端農業特区などの話題を中心に、学術およびビジネス交流が行われた。

「一帯一路」へのイタリア参画というホットニュース

中川 十郎 大会実行委員長

 開会の挨拶に立った鳩山友紀夫・東アジア共同体研究所理事長に続き、酒井正三郎・中央大学総長、劉鋒・楊凌農業ハイテク産業モデル区日本首席代表、中川十郎・日本ビジネスインテリジェンス協会理事長、松井武久・日本シニア起業支援機構理事長が挨拶を行った。続いて、酒井正三郎・中央大学総長の基調演説『中国「一帯一路」の構想・展開・課題』が行われた。

 酒井総長は「一帯一路」へのイタリアの参画(2019年3月23日に覚書調印)というホットなニュース(G7では初で、協力分野は「交通・インフラ」「投資」「経済協力」「銀行システム」「通信技術」におよぶ。とくに、トリエステ港、ジェノバ港の2港は今後「一帯一路」の欧州へのアクセス拠点となる)から話始めた。

 そして「一帯一路」(英文表記はOBOR(One Belt,One Road)からBRI(Belt and Road Initiative)に)の構想~展開(濃淡ある進展に特徴)~課題(資金問題、経済的相互補完性、普世価値)について解説、そのうえで日本の果たせる重要な役割(米国と中国への橋渡し、一帯一路構想とインド太平洋構想の融和など)に言及した。

国有企業は資本合理的な生産方法で経済成長を主導

 基調演説の後は、王振中・アジア現代経済研究所教授、範雲濤・亜細亜大学教授、池蓮 広東財経大学助教授、宮川彰・首都大学東京名誉教授(「中国の国有企業は日本の国有企業のイメージとは大きく異なり、資本合理的な生産方法によって、生産力を顕著に発展させる原動力を担い、中国の経済成長を主導・牽引している」と結論)4人の報告が行われた。午後も中川十郎・日本ビジネスインテリジェンス協会理事長、小松昭夫・小松電機産業社長、松延洋平・元農水省種苗課長・首都大学東京客員教授の報告が続いた。

楊凌自由貿易区投資環境・優遇政策についての説明

 休憩を挟み、楊凌農業ハイテク産業モデル区日本代表処の毛士勇事務局長から「楊凌自由貿易区投資環境・優遇政策について」の説明があり、2つのビジネ交流を目的としたパネルディスカッションが行われた。パネラーの多くは中国楊凌で2018年に開催された「農業ハイテク成果博覧会」の日本ブース出展者であった。

 午後5時に主催団体を代表して、中川十郎・日本ビジネスインテリジェンス協会理事長が閉会の挨拶を行い、参加者は懇親会場へ移り、夕食、意見交換を楽しんだ。

(了)
【金木 亮憲】

(前)

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