市立小学校増築工事の影響で住宅に亀裂、下水逆流~近隣住民と福岡市の間で深まる溝
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■埋まらない溝、広がる亀裂
福岡市の外郭団体が発注した工事で受けた建物の損傷について「謝罪した」とする福岡市側と、「謝罪されたおぼえはない」とする被害者。もはや修復不可能に映るまでに広がった両者の溝を埋めることはできるのか。
発端は、2016年9月から今年2月まで続いた福岡市立平尾小学校の増築工事だった。もともと地盤が弱いせいもあって、工事が進むにつれて隣接する住宅などが大きな被害を受けるようになった。工事を発注したのは、福岡市の依頼を受けた外郭団体「公益財団法人福岡市施設整備公社」で、福岡市内の大手建設会社などからなるJV(共同企業体)が工事を担当した。総事業費は約22億円。
増築地に隣接するU氏邸は工事が進むにつれて建物が傾き、外壁には亀裂が入るなどの影響が出始め、次第に日常生活まで影響を及ぼすほどに被害が広がっていった。被害者を戸惑わせたのは工事による直接的被害だけではなかった。JV側はU氏の敷地内に勝手にコンクリート建造物を建築するなど違法工事まで行うようになり、問いただしたU氏らに対して開き直るような言動すらみせたのだ。こうした経緯については、データ・マックスでも、2018年05月25日に、「福岡市が違法工事 私有地に勝手に構造物」として記事を配信していた。
■子どもたちの安全を最優先すべき
U氏宅では昨年末ごろから、床下に下水が溜まるなどの被害も出始めている。工事の影響で下水管がつまって逆流したためで、屋内に下水臭などが広がり、もはや普通に生活するのが困難な状況になっている。
こうした増築工事に伴う被害について、福岡市教育委員会の教育環境部施設課は2018年4月10日に謝罪したとするが、U氏は「謝罪を受けたという認識は持っていない」と話している。「そもそも、謝罪というのなら何に対しての謝罪なのかを明確にし、さらに市長名で書面に残すのが行政としてのあるべき姿ではないでしょうか。そういう意味での謝罪を受けたことはありません」(U氏)。
福岡市は、工事に伴う被害について今年1月に補償コンサルタントに委託し、1月と2月に現地調査を行っている。下水の逆流については、今年4月15日に行った現地調査で事実を確認し、工事の影響と認めたうえで「補償については協議中」とした。
U氏は平尾小学校のPTAなどで副会長を務めたこともあり、もともとは増築工事について協力を惜しまないつもりだった。しかし、工事担当者の不誠実な対応や二転三転する福岡市側の言い分に強い不信感を抱くようになったという。
「不動産価値が大きく毀損したため、福岡市が建て替えや買い取りといった補償をすべきではないかといった声もあります。しかし最も問題なのは、亀裂の入った外壁がそのまま放置されていることです。壁は通学路に面しているため、地震などで倒れれば子どもたちが危険にさらされる可能性があります。福岡市は本当に子どもたちの安全を第一に考えているのでしょうか」(U氏)。
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