福岡県の8信用金庫~その経営統合の行方を検証する(4)
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【表1】を見ていただきたい。福岡県の信用金庫に大きくたちはだかる地銀の概要である。
~この表から見えるもの~
九州地銀5行の支店計は475あり、うち426が福岡県内となっている。前述した福岡県内に本店がある8信金の支店計は124(大川信金/佐賀県1)あり、福岡県内には123支店となっている。福岡県内の支店数を比較すると、地銀が圧倒的に上回っているのがわかる。
西日本シティ銀行の前身は1944年12月1日に設立された西日本無尽。
・西日本無尽は、戦時体制下において、大蔵省の1県1無尽会社への統合方針に基づき、福岡無尽(のち福岡相互銀行を経て福岡シティ銀行)を除く福岡県内の無尽会社5社と野村銀行(後の大和銀行)によって設立された。
・西日本相互銀行を経て、1984年4月1日、大蔵省の要請を受けて高千穂相互銀行(宮崎市)を救済合併し西日本銀行に商号変更。同年12月、店舗の4割が福岡県外に所在するなどの問題もあったが改善を約束。紆余曲折を経て第二地銀から第一地銀への転換が認められた。
・2004年10月1日、業績が悪化した福岡シティ銀行を救済合併。西日本シティ銀行に商号変更するとともに、福岡シティ銀行の子会社の長崎銀行を傘下に収めた。
・2016年10月3日、金融持株会社西日本フィナンシャルホールディングス(FH)を設立し、西日本シティ銀行と長崎銀行はその傘下の子会社となった。西日本シティ銀行の支店183のうち、159が福岡県内にある。
福岡銀行は1877年(明治10年)11月1日、第十七国立銀行として創業。
・1945年3月31日、戦時統制により福岡県内の十七銀行・筑邦銀行(現・筑邦銀行とは無関係)・嘉穂銀行・福岡貯蓄銀行が解散合併し、(株)福岡銀行を設立。発足当時は地銀最大手だった。
・2006年(平成18年)5月17日、熊本ファミリー銀行が整理回収機構へ発行した優先株式(公的資金)を買い取るかたちで資本提携を結んだ。
・2007年4月2日、熊本ファミリー銀行との共同持株会社ふくおかフィナンシャルグループを設立、その傘下に入った。同年10月1日、九州親和ホールディングスより親和銀行の全株式を取得して経営統合。
・2019年4月1日、ふくおかFGは十八銀行と経営統合。
・ふくおかFG傘下の銀行は、福岡銀行を主体として、熊本銀行・親和銀行・十八銀行の4行および系列の福岡中央銀行を合わせると5行となり、九州地銀18行の3割近くを占めている。
・来年10月に十八銀行と親和銀行は合併を予定しており、銀行の名称は「十八親和銀行」。十八が前にあり、十八銀行に配慮したものと推測される。福岡銀行の支店170のうち、152が福岡県内にある。
戦後に設立された銀行は、福岡中央銀行、筑邦銀行、北九州銀行の3行。
・福岡中央銀行の頭取には福岡銀行出身者が6代続けて就任している。支店は41あるが、すべて福岡県内にある。
・筑邦銀行は第一地銀64行のなかで、総資産残高は63位。最下位の64位は富山銀行。44支店のうち、福岡県外の店舗は鳥栖支店(佐賀県)、日田支店(大分県)、東京支店(東京都中央区)の3店舗で、主力地盤は久留米市を中心とする福岡県内となっている。
・北九州銀行は2010年10月1日、山口銀行の九州にある支店の営業譲渡を受けて設立されたもので、一番新しい第一地銀。支店37のうち、33が福岡県内にある。
【表2】を見ていただきたい。
~この表から見えるもの~
福岡県に本店がある地銀5行のうち、西日本シティ銀行、福岡銀行、北九州銀行の3行はFG・FHの傘下にあり、福岡中央銀行は福岡銀行の系列銀行となっている。単独行は筑邦銀行だけで、今後の動向に注目が集まっている。
<まとめ>
地銀は生き残りをかけて経営統合を繰り返したが、福岡県内に本店を構える信金9庫にとっては、2011年5月に遠賀信金と大川信金の合併が破談となった影響は深刻で、以後合併は進展しなかった。動くに動けなかったというのが本音ではないだろうか。しかし日銀の進めるマイナス金利政策が経営に与える影響は大きく、今のままでは「座して死を待つ」状況にある。これから経営統合しないと生きていけない信金の経営成績を検証していくことにしたい。
(つづく)
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