朗報!貸会議室のTKPがJ1大分トリニータの筆頭株主に~九州男児、河野社長の起業家人生(前)
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九州のサッカーファンに朗報だ。東証マザーズ上場の貸会議室大手ティーケーピー(TKP)は6月24日、サッカーJリーグ1部(J1)の大分トリニータを運営する大分フットボールクラブ(FC、大分市)の株式19.3%を約1億円で取得し、筆頭株主になったと発表した。大分市出身の河野貴輝社長が率いるTKPがスポンサーとなり、大分トリニータが首位争いに加わることに期待が高まる。
大分トリニータの筆頭株主となり、故郷に錦を飾る
大分トリニータは1994年、任意団体として発足。99年に運営法人大分フットボールクラブを設立してJ2に参戦。2003年からはJ1で戦い、08年のナビスコ杯(現・ルヴァン杯)で日本一に輝き、一時代を築いた。
だが、09年にスポンサーが相次ぎ撤退し、経営危機が表面化。債務超過を解消してJリーグ参加条件を保つため、14年には経済界や県や全市町村などからの出資とともに、企業再生ファンドからも約3億5,000万円の出資を受けた。今年5月の株主総会では、この残高が4分1ほどまで減ったことが明らかにされた。
TKPの出資と、地元・九州乳業の追加出資により、大分FCは出資を受けていた企業再生ファンドから全株を買い戻した。これで10年間におよんだ経営再建は完了。TKPと九州乳業の両社が筆頭株主となり、TKPの河野貴輝社長は大分FCの社外取締役に就任する。
大分トリニータの公式試合のパブリックビューイング(大型映像装置)会場として全国のTKP施設を活用することで、全国各地の大分トリニータのサポーターが臨場感と一体感をもって観戦し、交流できる場所を創出。大分県の地元大学と連携し、インターシップ(職場体験)を受け入れ、授業プログラムにも協力する、としている。
出資の理由は、郷里・大分の活性化に貢献するため。12年から3年間、大分トリニータのスポンサーをしていた。大分特産の「豊の国かぼす特命大使」でもある。
Jリーグの経営資料によると、大分FCの19年1月期決算の営業収益は11.2億円、チーム人件費は4.8億円。J2平均の営業収益15.4億円、チーム人件費6.8億円を大きく下回った。J2の最低クラスの年俸で戦い、見事J2昇格をはたした。
これまで多くの昇格、復帰チームが苦戦しているなか、大分トリニータは5位(7月16日現在)と大健闘。TKPというスポンサーを得て、新たな成長段階を迎えた。
為替ディーラー、ネット証券を経験して起業
河野貴輝氏は、今、旬の起業家である。72年10月、大分市生まれの46歳。大分県立雄城台高校から慶應義塾大学商学部に進学。学生時代、アルバイトで貯めた資金で株式投資を始めた。金融の世界でプロになることを目指し、96年、「目的別採用」を導入していた伊藤忠商事に入社。為替証券部に配属になり、4年間、為替ディーラーとして活躍した。
転機が訪れたのは98年。伊藤忠がネット証券への参入を決め、河野氏はその新会社、日本オンライン証券(現・カブドットコム証券)の立ち上げメンバーの1人に抜擢された。ここで、ネットの知識を学んだ。
上司がネット銀行の設立を計画。河野氏は思いきって伊藤忠を退職した。2000年に、上司が代表として設立したイーバンク銀行(現・楽天銀行)に入行。河野氏は取締役営業本部長として、資金集めやマーケティングに奔走した。
(つづく)
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