これから本格化する地銀の経営統合を検証する(1)
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今年4月1日、近畿大阪銀行(第一地銀)と関西アーバン銀行(第二地銀)が合併して、関西みらい銀行(第一地銀)が発足。地銀は103行(第一地銀64行・第二地銀39行)となっている。
また同じ4月1日、十八銀行(長崎県)はふくおかFGと経営統合。来年10月1日に傘下の親和銀行(長崎県)との合併を予定しており、第一地銀は63行となる。
【表1】を見ていただきたい。
~この表から見えるもの~
地銀は成り立ちの違いから業界団体が2つに分かれている。1つは全国地方銀行協会で64行が加盟している。いわゆる第一地銀である。
もう1つは第二地方銀行協会で、39行が加盟している。かつて相互銀行と呼ばれていたが、業態が金融の自由化・証券化などで普通銀行と同質化したため、全国相互銀行協会は、1984年5月、相互銀行の普通銀行への一斉転換の要望書を当時の大蔵大臣に提出。金融制度調査会(現・金融審議会)が87年、1968年6月施行の「金融機関の合併及び転換に関する法律」をよりどころに答申したことから、相互銀行の普通銀行への個別転換の道が開かれた。89年2月以降、相互銀行から順次普通銀行に転換していった。
・この流れを受けて、全国相互銀行協会も91年2月1日に「第二地方銀行協会」に名称を変更。そして最後の1行となっていた東邦相互銀行(愛媛県)は92年4月、伊予銀行(愛媛県)に吸収合併され、相互銀行の名は消えた。
・相互銀行が普通銀行に転換する直前の1988年12月末の相互銀行は68行で、預金残高は47兆7,320億円、貸出金は38兆2,540億円だった。しかし業態の弱い第二地銀は、経営破綻による統合や合併を受けて、19年6月末現在、39行とほぼ半減している。
第二地銀が本店を構えていない県は12府県で、青森県、秋田県、茨木県、埼玉県、山梨県、石川県、岐阜県、滋賀県、京都府、奈良県、和歌山県、鳥取県となっている。
・第一地銀がない県は愛知県。一方、第一地銀が多い県は福岡県で4行。福岡銀行・西日本シティ銀行・筑邦銀行に、山口銀行の九州における営業権の譲渡を受けた北九州銀行(2010年10月1日設立)が加わり4行。次が静岡県で、静岡銀行、清水銀行、スルガ銀行の3行となっている。
ただ、スルガ銀行はシェアハウスをめぐる不正融資で経営危機に陥っており、金融庁の意向を受けて、大手地銀が救済することになりそうだ。
地銀103行に対して、日本の推計総人口は1億2,664万3千人(18年10月1現在)。都府県のパーヘッドは122万8千人となっている。
・地区で見ると北海道、関東、甲信越、東海、近畿の5地区はパーヘッドを上回っているが、東北は58万4千人、甲信越85万4千人、北陸49万5千人、中国81万4千人、四国47万人、九州71万5千人、沖縄県48万3千人と大きく下回っており、経営統合が急速に進む地区であることを示している。
<まとめ>
地方銀行の経営が苦しくなっている要因は、大きく分けて3つ挙げられる。(1)超低金利による利ザヤの縮小、(2)人口減少による資金需要の縮小、(3)異業種の参入、金融がITと結びつくフィンテックの進化もあって、IT企業やコンビニ業界などが銀行業に参入。これまで地銀の売りだったきめ細かい店頭サービスは、簡便なネットに取って代わられているのが実情となっている。
地銀の経営環境の厳しさは一時的なものではなく、今後さらに悪化すると予想されている。行員および店舗の削減などを含め、経費削減効果が期待できる経営統合は、まさにこれからが本番で、「待ったなし」の状況になりそうだ。
(つづく)
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