日韓交流よもやま話（4）

福岡県日韓親善協会　副会長／ムライケミカルパック代表　村井　正隆　氏

商銀、信用保証協会、在日韓国総領事館の協力

　いわゆる在日韓国人の方々が、福岡県の県営アパートには入れるようにすることや、福岡商銀――いわゆる在日韓国人の皆さまでつくられている金融機関からお金を借りること。これにまつわるお話を致します。

　普通、与信が足りないときには、福岡県信用保証協会というところが保証するのですが、商銀の皆さまはこの保証を受けたいというのが、念願だったわけです。

　しかし、県の信用保証協会としては、「我々は在日韓国人の債権回収はおぼつかない」といって、渋っておられました。それで、私が知事と話しましたら、「（保証協会の）会長に話してください」ということで会長に話しました。その時、信用保証協会の会長は、副知事が兼任されておりました。

　話してみると、保証協会は、商銀を保証すると、北朝鮮の朝総連の金融機関も自分たちが保証しなければならないと考えていました。そこで私は、「韓国とは日本は国交を正常化してますよ。北朝鮮とはしてないじゃないですか。それを同列扱いするのはおかしいじゃないですか」といったら、「それはまあそうですね」と納得されました。

　それでも、「ただ、万が一、不祥事が起こったときに、なかなか我々では手が届かない」とおっしゃいますから、「わかりました。（韓国）総領事に話をして、万が一、不祥事があったときは、総領事館が全力を挙げて協力をする、ということで一筆書いてもらいましょう」と申し上げましたら、「そんなことを総領事館が書きますかね」というから、「それは、私が話をします」と返しました。

　その時は黄元瀅という総領事でしたが、（話をもっていきましたら）「わかりました。結構です」ということで、総領事室で、福岡県信用保証協会と、総領事と、福岡商銀と。3者の連名でできたわけです。

　やっぱり、よく知る。お互いに好感をもちあうということであれば、どんなに出来ないと言われているようなことも、出来るようになると思います。

寒空の下で行われる大統領就任式

　軍政の時は、少ない人数でされていたと思いますが、金泳三大統領になられて、国会議事堂の前で、国交がある国の元首。あるいはそれにつぐ方。あるいは在韓大使あるいは公使などをお呼びして、大統領就任式が、非常に華やかに行われました。私は、金泳三大統領から朴槿恵大統領まで、毎回招待にあずかり、参加しました。大統領は5年で1期です、大統領就任式は2月に、屋外でちょうど1時間、行われます。この時期の韓国は最も寒い時です。

　大統領就任式に招待されますと、だいたい3つのホテルのどれかに泊まってほしいと伝えられます。そして10時に大統領就任式が始まりますから、これに間に合わなければなりません。ホテルから、白バイがサイレンを鳴らして先導してくれます。そうすると時間ピッタリ着くんです。あの日の朝、ソウルはものすごく渋滞していましたが、それでもピッタリに着きました。

　大統領就任式のあとは、カクテルパーティーがあります。朴槿恵大統領の就任式の時の事ですが、そこで、ごく少ない、100人、200人の参加者のなかにいましたら、朴槿恵大統領がこちらに歩いてこられました。そこで、私の目の前に来られましたので、挨拶をしましたら、ネームプレートを見られて、右手でしている握手にさっと左手も添えられて、両手での握手をなさいました。

　「ああ、やっぱり、朴（正煕）大統領のファースト・レディとしてお母さんの代わりをやっておられた。そういうこともあって、知日派だなあ」と私は思いました。その後もずっと、朴槿恵大統領が行かれるのを見ておりましたが、両手で握手されたのは私だけでした。日本人がその後そこにいたかどうかはわかりませんが、（朴槿恵大統領は）気持は非常に親日だったのではないかと私は思っております。

　ただ、その時に、非常に近い国である日本から安倍首相は来られなかった。麻生太郎副総理が名代としてこられていました。

（つづく）