働き方のダイバーシティ~「地域限定正社員」のメリット・デメリット(2)
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厚労省が3月中にも進める方針を明らかにした、「地域限定正社員」の企業への導入の促進。
企業側にとってはどのようなメリット、デメリットが考えられるのでしょうか。まずはメリットについて。
2013年4月に改正された労働契約法により制定された「無期転換ルール」。これにより同一使用者の元で通算5年以上働く有期労働契約者が希望すれば、無期雇用に転換することができます。
対象となるのは13年4月1日以降の契約。つまり、今年4月から無期転換申込権の対象者が徐々に現れることになります。この権利を行使された場合、雇用主は断ることができません。
限定正社員は、正社員の8~9割程度の賃金で労働者を雇用することが可能なため、企業側は、無期転換申込権を行使された際の受け皿として、限定正社員制度を活用することが考えられます。
また、求職者に多様な働き方を提示することで求人の窓口を広げ、その後定着させることができれば、企業の持続的発展につながります。しかしいくら一時的な受け皿や採用窓口の拡大につながったとしても、転勤できない社員の増加は、中小企業にとって好ましい状況であるとはいえません。
拠点ごとに社員の数が偏る可能性や、配置転換の組み方が難しくなる可能性もあります。1つの拠点や部署しか経験できないことが、社員のスキルアップを阻み、結果として企業の発展に影を落とすことも考えられます。
無期転換についても、これからやっと対象者が現れることになるため、どれだけ「地域限定正社員」が受け皿として機能し得るか、トラブル発生の原因とならないかなど、見通しがつきにくい状況です。地域限定正社員制度は、ワーク・ライフ・バランスを実現し、働き方の多様性を認める1つの選択肢といえますが、普及にはさまざまな課題が残っています。
「地域限定正社員」を検討する場合、求職者は待遇面やキャリアプランの開示など、就職後の具体的な内容を企業に求め、自分の将来設計と照らし合わせて判断することが大事です。
企業側は、事前に明確な雇用計画を用意しておくことが必要になります。すでに「地域限定正社員」制度を採用している企業の情報などを参考に、自社に適合する人事・採用制度を整えることが、未然に制度導入時のトラブルや混乱の防止策となります。
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