メモリの覇者から半導体産業の王者を目指すサムスン(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
半導体は産業の「コメ」といわれるほど、製品の機能と競争力を左右するコアな部品である。
製品の機能の高度化と小型化には、半導体技術が欠かせない。私たちの生活を劇的に変えてくれたスマホも、半導体なしには誕生しなかっただろう。
今後、産業が高度化すればするほど、半導体の需要が伸びていくことは容易に想像できる。5G時代の到来とともに、自動走行車や電気自動車が普及していくと、半導体の需要が爆発的に増加すると思われる。
現在、半導体が最も多く使われている分野は、コンピューターと携帯電話だ。中国はこの2つの分野で世界的な競争力をもっており、その結果、世界市場のかなりのシェアを占めている。
その状況下、コア部品であるメモリだけは韓国から輸入しなければならず、それを解決するべく中国政府は1兆人民元(170兆ウォン)を投資し、中国のメモリ産業を育成する計画に取り組んでいる。また、軍事力などの分野においても、米国を追い抜くためには、どうしても半導体技術の確保が欠かせない。
半導体を大きく分けると、メモリと非メモリに分けることができる。メモリの割合が30%、非メモリの割合が70%となっている。
サムスン電子はメモリ分野において世界トップで、韓国のメモリ市場の世界シェアは7割超である。しかし、非メモリ分野では、韓国の世界市場シェアは4%に過ぎない。
メモリ市場においては、中国の将来における脅威だけではなく、需要の変動も激しい。また、たびたびチキンゲームが繰り広げられている。
メモリ市場は2018年第3四半期まで絶好調だったが、第4四半期から市況が悪化しつつある。その原因としては、スマホ在庫の増加、グローバルIT企業のサーバーへの投資減少、インテルのCPUが円滑に供給されなかった点などがあげられている。
メモリ市況の悪化で、サムスン電子は昨年の第4四半期、半導体分野において首位の座をインテルに譲ることになった。
半導体市場全体を眺めてみると、コンピューターではインテルのCPUが、スマホではクアルコムのAP(アプリケーションプロセッサー)が事実上の標準化となっている。
メインボードなどをつくっている会社はインテルのCPUの環境下で、最適に動作できるように設計をしているし、アンドロイドスマホの製造メーカーもクアルコムのAPに最適化された開発を進めている。いわゆるインテルとクアルコムは先行者利益を享有しているわけである。
米国のインテリア、クアルコムなどの会社が半導体を設計し、それを台湾のファウンドリ企業であるTSMC(市場シェア50%以上)とUMC(市場シェア8%)などが生産しているというのが半導体産業の大まかな構造である。
(つづく)
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