“人間中心”のAI戦略とブロックチェーンの可能性(後編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年9月6日付の記事を紹介する。
さて、昨今、話題沸騰気味のブロックチェーン技術(分散台帳技術)の活用はどこまで進むのだろうか。経済産業省の試算によれば、その市場規模は67兆円。暗号通貨から信用創出の新形態へと応用範囲は広がりを見せている。
トークン・エコノミー、追跡可能性の保証されたグローバル契約・決済システム、セキュリティの確保、スマート・エネルギー管理など、新たなビジネスチャンス到来への期待は高まる一方である。ブロックチェーン技術の活用によって、日本は「弱み」を「強み」に変えることが可能になるに違いない。
とはいえ、「人間本来の能力の再発見」にこそ日本的なAI戦略の機軸を置くべきではないだろうか。なぜなら、AIに全てが代替されるわけではないからだ。一種の「AI万能ブーム」が世界を席巻しているかのように見受けられるが、過度な期待は命取りになりかねない。
AIやロボットが幅を利かす時代になればなるほど、人間関係や共感に基づくリアルなやり取りやコミュニケーションは重要性を増すことになるだろう。いわゆる「母性資本主義の時代」と言われるゆえんであろう。
実は、2025年の大阪万博のメインテーマは「命輝く未来社会のデザイン」である。これは、日本政府の肝いりで進む、想像を超えた「ムーンショット・プロジェクト」(2050年までにサッカーのワールドカップ優勝チームに勝利する完全自立型ロボットチームを誕生させようというもの)と対極に位置する発想である。
発想を変えれば、「グーグル全盛時代の終わり」の近いことも視野に置く必要があるだろう。ビッグデータで解析し、次の一手を見出すのは、あまりにも当たり前過ぎる思考方法と思われる。データが大量にあれば、AIの機会学習の精度が高まることは想像に難くない。しかし、フェイクニュースのようなウソのデータが大量に出回るような状況下では、データの真贋を見分ける能力も欠かせない。
今後は、量は少なくとも、正確なデータを基に、いかに効率的な学習を加速させるかが問われるはずだ。そのような問題意識から、数少ない「スモールデータ」で学習効果や未来予測を高めることを目指すのが、日本の革新知能統合研究の真骨頂である。
恐らく、何でもグーグル検索に依存するような時代は長続きしないだろう。無意味なデータや意図的に操作された情報をいくらビッグデータ解析やディープラーニングの対象にしたとしても、創造的なアイデアや発明の原動力にはなりえない。ゴミ箱に捨てられたデータをいくら収集しても価値のある学習は不可能である。
※続きは9月6日のメルマガ版「“人間中心”のAI戦略とブロックチェーンの可能性(後編)」で。
著者:浜田和幸
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