トランプ大統領が狙う北方領土カジノ構想(前編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年9月13日付の記事を紹介する。
この9月5日、安倍首相はロシアのプーチン大統領と27回目になる首脳会談をウラジオストックで行った。「東方経済フォーラム」という国際会議の場を利用してのこと。平和条約を締結し、領土問題を解決したい安倍首相。対するプーチン大統領は北方4島の経済開発に日本の資金と技術を投入したい。日本は先ずは領土問題を解決してから、経済交流を加速させたいとの立場だが、ロシアは経済交流を先行させたいと考えている。
両者の溝は深くて広い。何度膝を突き合わせても、「未来志向で解決を目指す」という当たり障りのない合意を繰り返すだけで、何ら実質的な進展はない。このままでは安倍首相の唱える「戦後外交の総決算」は絵に描いた餅で終わりそうだ。
さて、アメリカのトランプ大統領であるが、2016年の大統領選挙におけるロシアの介入問題にいまだ取りつかれている。本人は「何らやましい点はない」と相変わらず強気の姿勢であるが、息子たちや娘婿がロシアでのトランプ・タワー建設に絡んで動いていたことは動かしようがない。トランプ大統領とプーチン大統領とはウマが合っているようだが、その背景には知られざる2人の思惑が隠されている。
そのキーワードは「北方領土カジノ構想」である。2005年、トランプ氏が来日した際、最大のテーマになったのが「国後島のリゾート開発」だった。自分の持つ経験、資金、ノウハウを投入し、ホテル、カジノ、商業施設、アミューズメントパークが一体となった統合型リゾート施設(IR)やハブ空港を建設したいとアピールしていた。
トランプ氏は浮き沈みを幾度も経験している。大成功もあれば破綻もあった。トランプ氏はお酒をあまり飲まない、煙草も吸わない、ギャンブルにも手を出さない。とはいえ、不動産開発、ビジネスにおいては「ギャンブラー」的な面があることは否定のしようがない。「ここぞ」と思ったら資金を投入する。バブルの最盛期、ニューヨークの不動産開発において、全面的に資金面で支えていたのは日本の銀行だった。
特に彼に潤沢な資金を提供していたのは、長銀(日本長期信用銀行)だった。トランプ氏の方から希望したのではなく、長銀の方から「使って下さい」とばかりに大量の資金が融資されたのである。
ところが、日本でバブルが崩壊すると、長銀を始め日本の銀行は手の平を返して「貸しはがし」を行ったのである。「二、三年待って欲しい」とトランプ氏も懇願したそうだが、銀行は彼の懇願に耳を傾けることはなかった。
当時を振り返り、「あんな惨めな思いをした事はかつてなかった」と、彼は語っている。「日本の銀行は信用できない。もう二度と日本とは付き合わない」とまで思ったようだが、その後、考え直したという。「失敗したのはそれだけ先が読めなかったからだろう。自分の目を覚まさせてくれたのは日本の銀行ではないのか?」。
※続きは9月13日のメルマガ版「トランプ大統領が狙う北方領土カジノ構想(前編)」で。
著者:浜田和幸
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