2024年12月01日( 日 )

スマホは何もかも変えていく(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 コミュニケーションの手段だが、今はLINEなどのSNSの利用が最も一般的となっている。SNSはリアルタイムで、複数人にも、すぐ連絡できるので、非常に便利なコミュニケーションツールである。

 一方、スマホに対する非難もないわけではない。さらに「私は一生ガラケーで通す」と言い切る人もいる。スマホの登場により、電話番号をほとんど記憶できなくなったとぼやく人がいる。すなわち、スマホを使うと「馬鹿」になるというのである。親の場合、子どものゲーム中毒を心配する親が多い。それに、SNSは時間の無駄だと主張する人もいる。

 確かにこのような意見は一理ある。しかし、これらはスマホの利用による別の側面を看過している人の意見だろう。

 それでは、スマホの登場で、産業にどのような変化が押し寄せているのだろうか。日本の状況はよくわからないが、韓国人は銀行に行かなくなっている。インターネットバンキングなどの無人サービスが90%を占めるようになっているからだ。

 スマホの登場で今後、金融業界は大きく変化することになるだろう。すでにそのような変化が韓国では起こっている。

 韓国シティ銀行は2017年、127支店中90店舗を閉鎖した。すなわち既存店舗の8割の店舗を閉鎖したわけだ。しかし、1年後には7%の営業利益が増加した。

 媒体の代表格である地上波放送はというと、地上波放送局の売上高が半分に減少している。その半分の売上高を、YouTubeなどのインターネット動画サービスに奪われているわけだ。

 買い物などもスマホ利用がだんだん増加している。スマホで服を選び、スマホで食べ物などを注文する。クリックするだけで、物が配達されるのでとても便利な世の中である。

 このような状況なので、米国では17年から18年の間、大手デパートの3分1がなくなった。125年の伝統があるシアーズも18年に破産することになった。米国の小売業店舗の20%は、アマゾンなどのネットショッピングの影響を受けてなくなったという。タクシーサービスなども世界的にウーバーが標準になりつつある。もちろん、一部の国では既存のタクシー業界に配慮して規制をしているところもあるが、それは世の中の流れに遅れるだけだ。

 時代は変わり、スマホなしでは何もできない新人類が誕生している。当分の間、スマホとスマホが発生させるデータが世の中を動かしていく世界へとなりつつある。「スマホを制する者が世界を制する」と言っても過言ではない。

 そんな時代、教育の方法も、マーケティング戦略なども変える必要がある。検索すれば、なんでもわかるようになる時代に、詰込み式の教育方法を行うのはいかがなものだろうか。

 以前はメーカーが物をつくって売り出すプロダクトアウトの時代だったとすれば、現在は消費者がすべてを決める消費者選択の時代になっている。スマホが身体の一部になりつつあり、今後、スマホはもっともっと私たちの生活を変えていくに違いない。

(了)

(前)

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