適切な避難行動実現に浸水リスク明示不可欠
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は国民の命と財産を守る視点からすれば、防災対策への財政資金集中投下は肯定されるべきだと訴えた10月16日付の記事を紹介する。
木・火・土・金・水を五行という。五行は天(陽)・地(陰)から派生した五種類の作用および法則のこと。世界はこの5つの作用から成り立っているという世界観を表す。
土は鉱物を生み出し、鉱物の間から水が湧き出る。金 生 水(きんしょうすい)という。また、水は火を消す働きをもつ。水 克 火(すいこくか)という。さらに、水は養分となり木を生育させる。水 生 木(すいしょうもく)という。その水は土にせき止められる。土 克 水(どこくすい)である。
「水は方円(ほうえん)の器(うつわ)に随(したが)う」といい、水は、容器の形によって、四角にも丸くもなる。柔軟性を備えている。同時に、「雨垂れ石を穿(うが)つ」ともいい、軒下から落ちるわずかな雨垂れでも、長い間同じ所に落ち続ければ、ついには硬い石に穴をあける。恐るべき強さを内に秘めている。この「水」を克すのは「土」である。
台風19号が伊豆半島に上陸し、関東地方を縦断した。台風19号は大型で猛烈な台風であった。それでも上陸時の気圧は960HPで「強い台風」に分類される強さだった。ただし、大型で台風を取り巻く雲が広く広がり、台風の進行速度が速くなかったために雨による大きな被害をもたらした。
10月15日夜の時点で死者74名、行方不明者12名にのぼっている。河川決壊は7県の52河川、73カ所と発表されている。
関東地方を直撃する台風としては史上最大級の台風であるが、過去に経験のない規模ではない。1958年に襲来した狩野川台風による人的被害と比較すれば被害規模は相対的に小さいが、災害被害の絶対規模としては極めて甚大である。台風の規模は「想定の範囲内」であったにもかかわらず、ここまで被害が拡大したことを当然視できない。
政府の最大の役割は国民の生命と財産を守ることである。この意味で、政府は十分に役割を果たしたと言えない。結果を精密に検証して行政を是正する必要がある。もちろん、いま直ちに求められることは被害者の救援、救出、被災地の復旧であるが、同時に災害の検証と対応策の構築が必要不可欠だ。
土砂崩れ等による被災も発生したが、災害規模が拡大した最大の要因は河川氾濫である。河川氾濫のなかでも、決定的に深刻な影響が生じる「堤防決壊」が73カ所も発生したことが重大だ。
「堤防決壊」は河川の水位が増し、河川の水が堤防を越えてしまう「越水」によっても発生するが、「越水」していないのに堤防が決壊してしまう事例も発生した。想定される勢力、規模の台風の襲来により、このような河川氾濫が生じるのでは、国民は安心して暮らせない。
※続きは10月16日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「堤防強度不足情報公開で浸水リスクを明示」で。
▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』【植草一秀氏ブログ「知られざる真実」】の記事一覧
・堤防決壊=大規模水害リスク周知徹底が不可欠 植草一秀氏ブログ「知られざる真実」(10月15日)
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