「私たちにも何かできることがあるはず」~台風19号により氾濫した多摩川を取材して
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関東~東北地方を中心に甚大な被害をもたらした台風19号(ハギビス)。各地の河川では氾濫や堤防の決壊が起きた。国土交通省によると17日午後の時点で、59の河川で決壊が確認されているという。今回、大田区・世田谷区に被害をもたらした多摩川流域の、二子玉川駅、多摩川駅周辺の2カ所を取材、そこで川沿いを歩く親子に出会った。
自然の脅威
多摩川駅から徒歩約5分先にある川沿いを歩いた。現場は上流から流されてきた大木や草木によって、生草と粘土のにおいが充満していた。川幅約300mはあろうかという多摩川の丸子橋周辺。目の前に積まれた土や泥で汚れた道路をみなければ氾濫したことが信じられないような環境だ。よほど大量の水が流れ込んできたのだろう。
道中、「この先は沼地があって危険ですよ」と話しかけてくれた親子がいた。佐藤宏子さんとそのご子息・愛斗(まなと)君だ。
佐藤さんは「2週間前に台風15号の災害ボランティアとして息子と2人で南房総市に行きました。現地の被災状況を見て、そこで台風の恐ろしさを知りました。私の住む地域はまったく被害が無かったですが、私たちに何かできることはあるのかを知るために歩いていました」と話してくれた。
佐藤さん親子とともに川岸の様子を見ていくと、今回の台風により、普段おだやかな多摩川が、どのように変貌したかがわかってきた。
普段、多摩川丸子橋公式球場や丸子橋ピクニック広場などがあり、キャンプやレクリエーションなどが行われ、ロードバイクやランニングのコースとして市民の憩いの場だった川岸。つい最近では多摩川の花火大会が行われ、大勢の人で賑わっていた。
しかし、現在の川岸は泥であふれ、緑は見当たらず、本来あるはずのない粗大ごみや大木が流れ込んでいた。
どこからか流れてきた粗大ごみとスーパーで使われるかご台車 何かできることがあるはず~事前の準備の重要性
佐藤さんは以前参加したボランティアでの経験を踏まえ、次のように訴える。「台風は予測ができ、1人ひとりができる限りの備えをすれば被害を最小限に抑えることができると被災地を見て思いました。今回の台風が来るときは、やり過ぎと思えるほど準備をし、SNSなどでたくさん呼びかけました。少しでも1人ひとりの意識が変わるアクションが起こせないかなと、まずは自分から。そして息子にも理解のある人になってほしいと思い、付き合わせています」
いつでも対応できるように準備された水筒など 当日、発信された緊急速報 もちろん、事前に準備をすれば100%大丈夫というわけではない。避難先で被害にあった方もいる。しかし、自分たちでできることを今一度考えることも必要ではないだろうか。危険があれば避難をする、停電や断水に備える、強風で飛ばされて危険物になりそうなものは屋内にしまっておくなど、できることはあるはずだ。
自分たちにできることを可能な限り行うことで、救急隊や自衛隊などの手が、「一人暮らしの高齢者」や「障がい者」などへと向いていくだろう。そして、私たち1人ひとりが自然災害に対する意識を高め、行動していくことが被害をより小さくし、多くの人を助けることにつながるのではないだろうか。
【麓 由哉】
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