2024年11月14日( 木 )

【記者座談会】消費増税、反動減長期化か~2019回顧と展望(1)

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 2019年は消費増税対策で始まり、増税後の反動減対策で終わろうとしている。企業買収や統合・合併などの再編の動きは少なかった。担当記者に九州流通業界の5大ニュースを中心に今年を振り返り、来年を展望してもらった。

2019年九州流通業界5大ニュース
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1位 消費増税

 ――今年最大のニュースは消費増税になるだろう。駆け込み需要の反動減はどうか?

 A 百貨店、総合スーパー(GMS)、ホームセンターの10、11月の落ち込み幅は2014年4月の消費増税後より大きい。とくに百貨店は福岡地区の2社が11月も前年同月比で2ケタ減だった。9月に防寒衣料の需要を先食いした影響が尾を引いている。

 B ホームセンターも厳しい。2ケタ減まではいかないが、11月はナフコ4.1%、コメリ4.2%の各減だった。食品の税率は据え置かれたとはいえ、公共料金を含め広範な物価が上昇し、家計を圧迫している。節約志向と低価格志向が強まるのは当然だ。前回増税時はまだ賃金が上がっていたが、今回は実質ベースで下がっている。増税の影響は長引き、小売の売上は年明け後も低迷が続くと見ている。

 C 駆け込み需要は前回増税時ほどではなかった。ディスカウントストア(DS)とドラッグストアではその分反動減も少ない。政府がキャッシュレス決済購入客に5ポイント還元をしていることもあって対象のスーパーやコンビニは10月以降も売上は落ちていない。問題は還元の終わる6月以降で、むしろこれらの店舗で反動減があるだろう。

ルミとコスモス作戦勝ち

 ――増税前には惣菜・弁当の税率が問題になっていた。店内飲食は10%で、持ち帰りは8%だと。

 B 記者自身、イートインのあるスーパーやコンビニのレジで店内飲食か、持ち帰りか、聞かれた経験はない。店側も客の判断に任せている。もともと、法律自体に無理があった。落ち着くところに落ち着き、この問題が蒸し返されることはないだろう。

 A それよりも問題なのは売価表示だ。政府は前回増税時から総額表示が望ましいと言いながらそのままになっている。「本体価格」「併記」とDSなどが採用している「総額」の3つにわかれ消費者にわかりにくいだけでなく、企業間で不公平を生んでいる。

 C 今回からイズミ、西鉄ストア、シジシーグループ、ミスターマックス・ホールディングスなどが併記から本体表示のみに移行した。狙いは割安感を強調するためだが、買い物客には不便になる。消費者は頭ではわかっていても値札が本体価格表示だけだと安いという錯覚をもつ。今後、併記と本体で売上の差が出てくるのではないか。

 ――増税で低価格業態が有利になるのでは。

 A コスモス薬品とルミエールは増税後も税込価格を据え置いた。税率の2%分は自社で負担する。スーパーで買っていた客が流れるだろう。売上が増えれば2%分は取り戻せる。両社の作戦勝ちだ。

 C 店舗が競合しているスーパーは大変だが、全体として見ると影響は限られる。ルミエールは店舗が少ない。コスモス薬品は生鮮がない。両社の価格据え置きに神経をとがらせているのは同業態だろう。

(つづく)

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