2024年11月25日( 月 )

【検証】「ゴーン国外脱出」~ゴーン効果

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 日本の刑事司法の違法性・犯罪性が外国からの情報によって次々に世界に発信され始めた。日本国民はいつも最後に真実を知らされる破目になっている。

 1月24日にネットで公開されたロイターの情報は衝撃的なものだった。

隠された重大な情報

 レバノン政府と日本政府は40日以内に、ゴーンの裁判をどちらの国で行うかについて合意しなければならないとするICPO規定があるという。これは極めて合理的な規定であるため、「犯罪国家・日本政府」は到底受け入れられないことが明白である。

 犯罪の立証は客観的な証拠により、公開の裁判で認定される。そうであれば、裁判を開く場所はどこでもよいことになる。こだわる合理的な理由はない。この当然の道理を根拠にこの規定は存在している。

 この建前と、ゴーンに対して、日本政府が人道に反する長期の拘束と、厳しい保釈条件を科し、いまだに公判期日さえ決定していないという現実、被告人の権利があまりにも蹂躙されてきた経緯、それからゴーンが脱出した経緯を考えるなら、世界中の人々が、ゴーンをレバノンで裁くべきだと考えてもやむを得ない。日本の何も知らないで裁判から「逃げた逃げた」と騒ぐ人々もこれで納得するだろう。

 日本政府は自国での裁判開始を主張しても、いまだに第一回公判期日さえ決定しない裁判所の訴訟指揮が、世界の良識を納得させることはできない。日本が自国での開催をただやみくもに主張すればするほど、日本は合理的思考ができない国だと世界から見られるだけである。

 日本の司法当局者は、ICPOに国際手配(赤手配)した時点で、この日がくることを知っていた。しかし、それでも傲然と赤手配をしたのは、この重大規定の存在を国内のマスコミが報道することはない、とタカを括っていたからである。事実、国内のマスコミは誰1人としてこの重大事実を報道しなかった。警察庁のホームページでのICPO情報にもこの重大情報は存在しない。つまり隠蔽されている。

瀬戸際に追い詰められた日本の刑事司法当局

 合意形成のために日本の当局はゴーンに関する訴追資料を提供しなければならない。 これはゴーン弁護団に司法取引の関係証拠の開示を拒否し、それを裁判所が容認するという日本の内部的隠蔽が通用しない国際的交渉の場での話である。日本政府が重要な証拠資料をレバノンに開示しなければ、自国開催の要求をする立場が否定されるどころか、開示できない証拠があるか、そもそも証拠がないと世界から認定される。

 これを防ぐため40日間の期限を無視し、のらりくらりの「意味不明交渉」をするに違いない。つまり、実質的に必要な証拠資料をレバノンに渡さないで時間を稼ぐだろう。

 当然、レバノンもお見通しで、日本政府が不誠実であると宣伝し続けることになる。日本

国民は悪徳刑事司法官僚によって、世界から文明基準の低い民族だと思われることになる。

 国民は、日本政府がどれだけ合理的精神で、人権を尊重することができるかを40日後には見ることができる。

【凡学 一生】

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