2024年11月24日( 日 )

「地獄の番人が何を言う」、山本太郎がアベノミクス詐欺を看破

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冒頭、「そんなに興味ないけど、家族や知り合いが強引に来いと言うから来た人」と尋ねる山本氏(2020.1.29筆者撮影)
冒頭、「そんなに興味ないけど、家族や知り合いが強引に来いと言うから来た人」と尋ねる山本氏(2020.1.29筆者撮影)

 れいわ新選組の山本太郎代表は1月29日、高松市内で対話集会を開き、安倍内閣の経済政策について、「悪夢のような民主党政権みたいな話してるけど、地獄の番人みたいなやからが何をいう」と述べ、実質賃金や1人当たり国民総所得(GNI)の推移を示し、その詐欺性を看破した。

 高松市生涯学習センター内で開かれた「おしゃべり会」には、約270人の市民が集まり、3時間強、山本氏と質疑応答した。

 中盤、男性が「経済の悪化がすべての問題を招いている」と山本氏の積極財政策に同意する一方、マインドが経済に与える影響について見解をただした。

 山本氏は「話を聞くと、夢も希望もない。まだ生きなきゃ駄目かという方もいるが、どうか」と逆質問した。男性は「周りはまだ大丈夫だという人が圧倒的に多い」と答える。

実質賃金指数の推移(1995~2017=2020.1.29筆者撮影=)
実質賃金指数の推移(1995~2017=2020.1.29筆者撮影=)
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 山本氏は「置かれた状況によってマインドはばらばら。選挙になれば、自民党以外になったら悪くなる可能性もあるという人たちもいると思う。現状維持したいのにと。でも、現状維持など決してできない。消費税で物価は強制的に上がっていくが、自分たちの収入が多くなっているわけではない。詐欺的手法で」と述べ、実質賃金の推移をグラフで示した。

 1995年の実質賃金を100とすると、2017年は89.7まで減少している。1997年と2014年の消費増税で大きく落ち込み、後者の後は横ばい。民主党政権最終年の2012年から2017年まで4.1%も下がっている。

 山本氏は「現状維持って何の話か。この20年、どこが政権担当してたか。間3年くらい民主党で、あとは全部自民党」と切り出した。

 「悪夢のような民主党政権みたいな話してるけど、地獄の番人みたいなやからが何をいうとんねん」

 さらに、「こんな発言覚えてますか」と2013年6月の安倍首相の発言録を示した。「成長戦略の実現で、10年間で1人当たり国民総所得(GNI)は最終的に年3%を上回る伸びとなる。10年後には現在の水準から150万円増やすことができる」。

GNI目標値(年3%成長)と実際の数値の比較(2020.1.29筆者撮影)
GNI目標値(年3%成長)と実際の数値の比較(2020.1.29筆者撮影)
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 そして、目標値(年3%成長)と実際の数値を比較したグラフを提示。「予定より空いた」と両者の乖離(かいり)を指摘するだけでなく、「これは1人当たりの給与所得でない」とくぎを刺した。GNIは企業の所得も含む。

 「皆さんの給料は下がりっぱなし、企業だけ最高益。150万円上がると言われても、皆さんの手元には届いてない。残念ながら」と看破した。一方、「でも、あの人たちはそれでいいんです」と2013年2月の施政方針演説の一節を紹介する。「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指します」。

 「企業側が要求することを全部かなえていったら、干上がるのはこの国に生きる人々。これを変えていくためには、みんなのマインドが変わっていくようなことをやるべき。『景気回復、この道しかない』って、どの道やねん。その道違うかったんやないか。いつまで『道半ばでございます』って、いつまで道半ばやねん。ゴールどこに設定しとんねん」とこき下ろした。

 そのうえで、れいわが唱える消費税ゼロや最低賃金全国一律1,500円政府が保証などの政策について、「『そんなの無理に決まってるやん』みたいなこと言われるが、その人のマインドは恐らく、官邸にいるような、企業経営者になっているようなマインド。でも実際は違う。確実に切り捨てられる人。最上段から物事語るのは気持ちいいだろうけど、そうでなく、一緒にひっくり返してやろうぜ」と呼び掛けた。

 安倍首相は旧民主党時代をやり玉に挙げ、マスコミもアベノミクスを礼賛する。しかし、民主党政権時代の実質GDP成長率は年間平均1.6%に対し、第2次安倍内閣の下でのそれは1.4%にすぎない。

 財務省の法人企業統計によれば、2018年度の企業の内部留保は463兆円におよぶ一方、労働分配率は1990年代後半の75%前後から2012年以降大きく下がり、2017年は66.2%と43年ぶりの歴史的低水準を記録している(2018年は66.3%)。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)、『山本太郎がほえる〜野良犬の闘いが始まった』(Amazonオンデマンド)。ブログ『高橋清隆の文書館』

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