問題解決カギは積極財政ではない
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NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「財政資金の使い道をすべて洗いざらい精査して、無駄な利権支出を根絶することが最重要だ」と指摘する3月27日付の記事を紹介する。
財務省解体デモなど財務省にまつわる論議が拡大している。ただし、その場を共有する人々の主張は一様ではない。統一された明確な提案が明示されているわけではない。一部の政治勢力はこうした市民運動を選挙での集票に活用しようとの思惑で接近しているかもしれない。議論を整理することが必要だ。
1990年代末から旧大蔵省に対する厳しい攻撃が続いてきた。日本経済は1980年代後半に〈バブル経済〉の活況期を経験したが、90年代への移行と同時に〈バブル崩壊〉の大衰退を経験した。このバブルの生成と崩壊を生み出した〈主犯〉が大蔵省である。この問題も重要だが、ここでは脇に置く。
他方、90年代末に問題とされたのは大蔵省の〈校紀〉。民間事業者による〈過剰接待〉が発覚。大蔵省の権威は地に堕ちた。その後、省庁再編で大蔵省は財務省と金融庁に分割されたが、両者の不祥事は止むことがなかった。
財務事務次官はセクハラ問題で辞任に追い込まれた。森友事案では巨大な規模での〈虚偽公文書作成〉の事実が明らかにされた。日本の刑事司法が適正に機能していないから刑事事件として立件されなかったが、刑事司法が正常に機能していれば大きな刑事事件に発展していたはずだ。
三つの大きな問題がある。第一は校紀の問題に集約される財務省の体質の問題。財務省はなぜ不祥事を繰り返すのか。
第二は財務省権力の問題。行政権力の多くが霞が関官庁に握られている。そのなかでも突出して巨大な行政権力を保持しているのが財務省・金融庁組織である。OB人事を含めれば財務省・金融庁コングロマリットの支配エリアは広範に広がっている。
第三は経済政策運営の問題。財務省は財政政策運営の元締めだが、関与する領域は財政政策に限定されない。金融政策運営にも極めて深く関与している。時の政権との距離は至近であり、政権の経済政策全体への影響力は霞が関省庁のなかで抜きん出ている。
財務省解体デモで取り上げられている課題は主として第二と第三の問題であると考えられる。行政権力の多くが財務省・金融庁コングロマリットに握られている。この〈権力を分散〉することが必要。これが第一の論点になるだろう。
第二の論点は経済政策。経済政策としての財務省への要請の代表は〈積極財政の提言〉。財務省が〈緊縮財政〉を実行しているとして、これを〈積極財政〉に転換するべきとの主張が聞かれる。この主張への賛同者が多いと認識するが、財務省財政政策の論点における最重要点が〈積極財政〉であると私は考えない。
※続きは3月27日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「問題解決カギは積極財政ではない」で。
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