レオパレス21と、村上ファンド系のレノの抗争は終結へ~レノが突然、振り上げた拳を下ろした!(中)
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ソフトバンクグループ=OYOとの提携交渉が破談
旧村上ファンド系の投資会社レノがレオパレスの株主として姿を現わすのは、19年5月14日に財務省に提出した大量保有報告書(5%ルール)からだ。5%を超えてレオパレス株を買い集めていた事実が明らかになった。
レオパレス株はそれまで、英投資ファンドのオディの動向が注目されていた。施工不良で株価が注目するなか、レオパレス株を買い集めてきたからだ。そこにレノが参戦し、買い増していった。
旧村上ファンドの流れを汲むレノは、アクティビストファンドと呼ばれる。値ごろ感のある上場会社の株式を取得し、株価が上昇した段階で手放し、利ザヤを稼ぐファンド。
株主の権利をフルに活用し、事業提案を行うなどなど、経営陣にも積極的に働きかける。株主総会に合わせて増配や自社株買いなどの要求を突きつけることもあれば、役員を送り込んだり、経営にタッチすることもある。要求が通らなければ取締役の解任を迫る。
レノはレオパレスに臨時株主総会の開催を求め、取締役10名全員の解任を突き付けた。典型的なアクティビストの手法である。
レノは当初、現経営陣を支持する姿勢を面談や書簡で示していた。ところが、決定的な対立が起きる。資本提携の交渉にレノが関与を求めたからだ。
レオパレスは昨年夏、ソフトバンクグループ(以下・SBGと略)とインドの格安ホテル運営会社OYO(オヨ)ホテルズアンドホームズ(以下・OYOと略)との提携交渉が進んでいた。だが、レノがTOB(株式公開買い付け)価格の要求額のつり上げを求めたため、交渉が決裂したとされる。これで、レオパレスとレノの関係は悪化。レノが取締役全員の刷新を求めるまでにエスカレートしていった。
ソフトバンク=OYOは、レオパレス創業者深山氏が立ち上げたMDIを買収
SBGとOYOの合弁会社は19年9月、レオパレスの創業者・深山祐助氏が立ち上げた賃貸住宅会社MDI(東京・中央)の株式80%を取得し、ソフトバンクグループに組み入れた。
レオパレスの創業者・深山氏は06年5月、入居者から徴収したサービス手数料のうち計48億6,500万円を社長個人名義での不動産投資や知人の会社の運転資金に充てるなどの不正流用が発覚した。このカネは、入居者から、据え付け家具や家電の無償修理サービスのために集めていた共済事業の積立金の一部。それを私的に使い込んで、深山氏は社長を引責辞任に追い込まれた。
深山氏は、06年3月期にレオパレス株の14.66%を保有する筆頭株主だったが、順次、売却していった。レオパレス株を処分したカネで08年10月、MDIを設立。MDIはレオパレス21に変更する前の商号だ。自分を追い出したレオパレスへのあてつけと見られ、」レオパレスと同じビジネスモデルでアパート建築に乗り出した。
MDIの19年3月期の売上高は1,140億円。賃貸住宅の着工件数は395棟5995戸、賃貸管理戸数は3013棟3万7107戸。「準大手」のアパート建築・管理会社に成長した。
ところが、レオパレスの外部調査委員会が19年3月に発表した違法建築の中間報告で、「(施工不良の原因は)当時の社長のトップダウンの指示であった」と指摘。創業社長・深山氏が元凶とされた。MDIのアパートのオーナーから深山氏に対する不信が高まった。深山氏は代表取締役会長を辞任。深山氏が持つ株式を引き取ってもらうために、SBG=OYOに相談を持ち掛けていた。MDIは創業者の深山氏との資本関係を絶ち、ソフトバンクグループ入りしたのである。
(つづく)
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