【コロナ禍】受難・国内スポーツ界〜全国規模の大会が次々と中止に
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激震・選抜高校野球の中止
新型コロナウイルスの感染拡大は、国内外の政治経済活動、商業活動などに悪影響をおよぼしており、一般市民の生活、そして健康への不安は、増すばかりである。
コロナウイルスの影響は、スポーツ界にもおよんでいる。NBAは12日(現地時間11日)、2019-20シーズンの中断を発表した。国内のスポーツ界では11日、決行か中止かで動向が注目されていた春の選抜高校野球大会の開催中止が決まった。
主催者の高野連と毎日新聞社は、「感染拡大を受けて、第92回選抜高等学校野球大会については無観客での開催に向けて準備をしてきましたが、11日の大会臨時運営委員会で中止を決定しました。開催に向けてあらゆる感染防止対策を準備してきました。しかし、国内の感染が収束する見通しは立っておらず、選手が安心して大会に参加できる環境を19日の開幕時点で整備できるかどうか不透明なこと、練習の一時中断などで選手たちが十分な準備をして大会に臨むことが難しくなっていることなどから、苦渋の判断となりました」と中止の理由を説明。出場予定だった選手、指導者および関係者は、各報道で落胆の意を述べている。
今回の決定についての是非は問えない。なぜならば、大会を決行した場合も中止した場合も必ずといっていいほど賛否の声があがるからだ。屋外スポーツなので、「感染拡大の確率は低い」とする専門家の分析があった一方で、「選手は宿泊先で密接・濃厚な空間内にいる時間が多くなる。そこでの感染のおそれがあることも中止決定の要因の1つではないか」と分析する野球関係者もいる。
自粛ムードに巻き込まれたスポーツ界
選抜高校野球大会の中止決定前から、公益財団法人全国高等学校体育連盟(高体連)管轄のすべての競技の全国大会中止が決定されている。選手、指導者、そして関係者は、さぞかし無念だっただろう。そして、これら競技の大会を中止したことが、今回の選抜高校野球大会の中止に影響したことは否めない。
選抜高校野球、高体連加盟競技の全国大会中止により、開催地の経済的ダメージは計りしれない。そして何よりも選手は「一生に一度」の機会を、自身ではどうすることもできない理由であきらめなければならない。小中学校などのカテゴリーにおいても全国および各地域での競技大会の開催が中止に追い込まれている。
大学スポーツにおいては各校に一任されているため、学内でトレーニングが行われいるところも多いが、ある大学スポーツ関係者は「合宿はもちろんのこと、遠征しての試合も大学側から当面禁止されています」とし、「コロナウイルスが鎮静化するまでは、この状況が続きます」とコメントしている。
プロスポーツ界でも、プロ野球とJリーグの開催が延期となった。大相撲大阪場所は、開催されているものの無観客である。また、直近で開催された東京マラソン2020・名古屋ウィメンズマラソンにおいては、一般参加が取りやめになった。
批判を承知で綴る。万が一の事態を回避するための安全対策の一環だというのは理解できるが、どうにか開催・参加できる術はなかったのだろうか?何もかも「自粛」を強要する国内の気運・情勢、国民の感情論に配慮した中止決定ではないだろうか?配慮することを否定しないが、せめてアマチュアスポーツ、とりわけ小中学校、高校生のスポーツ大会は開催して欲しかった。
1人ひとりの生命と健康、そして安全が最優先されることは当然である。他方、競技者として、「一生に一度」の舞台だった選手も多数存在する。その機会が失われる喪失感は、本人にしかわからない。各人の競技継続へのモチベーションを維持するためのサポートが急務である。
国内スポーツの中止・延期により、国内では沈滞ムードが高まってしまった。せめて、プロ野球やJリーグなどのプロスポーツの1日でも早い開催を切に願っている。
【河原 清明】
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