2024年11月25日( 月 )

「コロナ・ショック」2020東京オリ・パラ延期~アスリートは奮起を!

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開催延期は評価される

 3月24日、2020東京オリンピック・パラリンピックの1年程度の開催延期が決定された。政府、東京都、大会組織委員会、そしてIOCの協議のもと、安倍晋三総理がIOCトーマス・バッハ会長に1年程度の延期を提案し、了承を得たかたちだ。

 すでに各報道およびメディアで、発信されており、今回の決定についてさまざまな論評が展開されている。ポジティブな報道がある一方、延期による懸念事項を連呼する報道も存在する。経済的な損失と補てん、出場内定選手=各アスリートの心身のコンディショニング、競技会場のスケジューリング、販売済・取引確定分チケットの扱いなど…課題は山積する。これについては、割愛する。なぜなら、現状ではどれが正解か不透明だからである。

 いずれにせよ、スケジュール通り開催するにしても延期するにしても、賛否の意見があるのは明白である。今回の開催延期は、仮に国内のコロナ・ウイルスの蔓延が鎮静化しても、世界各国がその状況になく、むしろ感染拡大がさらに広がっており、競技者および関係者の来日が困難となることを勘案したものと推察される。

 今回の開催延期についても、悲喜こもごも、賛否両論が展開されているが、不明瞭だった開催の可否について、決断したことについては高く評価すべきである。世界中を苦境に陥らせているコロナ・ウイルスから、人間の健康と安全・安心を守ることを最優先させた。

 今回の開催延期で、ひとまず感染拡大の危機は回避できたことは明らかだ。一部報道では、「開催延期は安倍晋三総理、バッハ会長の保身、アメリカ・トランプ大統領の選挙のため」という“政争の具”であるとした分析が報じられている。それが事実かどうかは、本人たちにしかわからない。まさに「下衆の勘ぐり」レベルである。

アクシデントに狼狽しない!

 コロナ・ウイルスの感染拡大は、まさに想定外の事態で「誰の責任だ!」と断じることはできない。よって、今回の開催延期についてもギリギリの判断となった。

 出場選手である各競技のアスリートの方々に対しては、「本当に気の毒である」という言葉以外見つからない。今回の2020東京オリンピック・パラリンピックを競技生活の“最後”に位置付けているアスリートも存在する。その方々にとっての1年という時間は計り知れないものだろう。

 どの競技にも共通することだが、アスリートは出場する大会から逆算して、出場する日時に最高のパフォーマンスを披露するため日々鍛練しながら、綿密な微調整を繰り返し行い、大会に備える。この厳しさは、常人の想像をはるかに超える。

 今回の開催延期により、その計画がリセットされ、1年後のスケジュールでもう一度練り直しを要求される。しかし、あえて明言したい。アスリートは常人にはできないパフォーマンスや、その崇高な姿を披露することで、人々や地域、そして国を元気にできる存在である。

 世界各国が「国難」と言って良い状況に置かれているからこそ、出場する選手=アスリートは、狼狽することなく、1年後に目標をリスケジュールして、最高のコンディションをつくり上げていただきたい。

 「国難」に毅然とした姿勢で挑み、1年後の晴れ舞台で最高のパフォーマンスを披露すれば、全世界の人々に勇気と希望を与えることができる。アスリートは、国民の希望でありヒーローなのだ。

 「確かに開催延期は厳しいことですが、世界の情勢を見たらそれがベストであることは、出場選手皆、理解しているでしょう。私は、もっとハードなトレーニングを行って、これまで以上のコンディションに仕上げる準備期間と捉えます」とコメントを寄せた出場候補選手がいる。1年後の華々しい開催を期待したい。

【河原 清明】

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