2024年11月22日( 金 )

WHOは政治と公衆衛生を分けるべき~WHOに台湾の参加を求める要望書を送付

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 3月26日、九州在住の台湾出身の医療関係者らで構成される「西日本台湾学友会」が、台湾のWHO参加を求める要望書をWHOのテドロス事務局長宛に送付した。

 国連に加盟していない台湾は国連の組織であるWHOにほとんど参加できていない。新型コロナウイルスの感染が拡大する状況下にあっても、この状態が続いており、2月11、12日の緊急会合にしか参加できていないという。

 要望書の取りまとめに携わった台湾政府の僑務委員(海外在住の華僑に関する業務に従事)の海澤州氏は、WHOは中立性を保つべきであり、政治的動機で行動すべきではないこと、公衆衛生事件に関しては政治的立場に関係なく皆で協力すべきことなどを訴えるとともに、WHOが中国の下部組織のようになっていることを批判する。

 SARS流行時も現在と同様に中国と距離を置く民進党政権(陳水扁総統)であったためWHOへの参加がほとんどできていなかったという。一方、国民党政権(馬英九総統)時代は一定程度参加できていた。

 この問題は台湾にのみ、あるいは台湾と中国にのみ関係する話ではないだろう。海氏は仮定の話として、台湾で感染症が発生した場合に、WHOは同様に台湾の参加を認めず、世界に情報を共有しないのかと疑義を呈する。また、台湾は今回の新型肺炎において早期に断固とした行動をとり、感染拡大の抑え込みに比較的成功している方であり、WHOが台湾の経験を世界で共有することは、日本を含め世界にとって意義があるはずだ。

 要望書に対し、WHOからは何もリアクションがないそうだ。海氏は、「新型コロナウイルスの流行以前から台湾のWHO参加を求める行動を行っており、問題を広く知ってもらいたい」と述べる。

要望書

【茅野 雅弘】

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