2024年12月23日( 月 )

将来の上場を見据え労務環境を整備~働いて楽しいと思える会社に(1)

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(株)タケノ 代表取締役社長 竹野 孔 氏

 (株)タケノの代表取締役社長・竹野孔氏は若くして焼き鳥屋を創業し、一代で40数店舗を構える飲食チェーンを築いた。上場を見据え労務環境の整備に努めつつ、2019年には新本店ビルを新築し、工場を増設するなど、100店舗、売上高100億円という目標に向けて着実に歩みを進めている。現在の状況と今後の事業展開について、竹野氏に話をうかがった。

(聞き手:(株)データ・マックス 執行役員 鹿島 譲二)

福岡空港に最大規模の店舗を出店

 ――昨年の出店状況についてうかがえますか。

 竹野孔氏(以下、竹野) 昨年は11店舗出店しました。小倉2店舗、大橋、美野島、熊本桜町4店舗、福岡高校学食、熊本竜田口、東比恵本店の復活オープンです。

 ――今後はどのような出店計画を立てていますか。

東比恵店

 竹野 3月初頭、関東にてフランチャイズのマッチングイベントに出展する予定で準備しておりましたが、新型コロナウイルスの影響でほかも含めて一連のイベントが中止となってしまいました。タペストリーをつくるなど出展準備を進め、コンサルティング会社も入れ、私もよし行くぞと思っていた矢先のことであり、非常に残念です。

 ――首都圏のイベントへの出展を予定されていたということは、フランチャイズ形式で店舗を展開されていく予定なのでしょうか。

 竹野 現在フランチャイズは行っておりませんが、今後首都圏でと考えており、それで出展準備をしていました。増産のために本社隣に工場の増設を行い、改装を終え、生産体制に入っていたところでした。工場で生産をして各店舗に食材を配送するシステムです。

 ――福岡空港にオープンされる予定の新店舗はどのような店になるのでしょうか。

 竹野 福岡空港の新店舗は6月末にオープンを予定しており、当社で最大規模、かつ同空港内でも最大規模の店舗となります。業態は居酒屋に肉バルをプラスしたもので、焼き鳥、洋食、肉料理、寿司・刺身、パーティー料理などを提供します。ターミナルビルの3階にあり、滑走路を展望できます。全部で270~280席で、一部はパーティールームで、着座で130席あります。営業時間は11時から21時半の予定です。
 また、PayPayドームの店舗を2月にオープンさせる予定にしていましたが、延期になっています。

 ――拡大戦略にM&Aを活用されていますが、M&Aをする際に両社の企業風土の違いという問題にはどう対応されているのでしょうか。

 竹野 M&Aは雰囲気の近いところがよく、当社と風土が大きく異なる企業は買収しないようにしています。ある会社の買収時のケースですが、風土が異なっていたため、1年ほどは何も言わず従来のやり方でやってもらい、お互いに打ち解けてコミュニケーションをとれるようになってから当社のやり方を導入しました。退職した従業員もいますが、残ってくれた人たちは経営幹部となっています。

 ――貴社が大事にする価値観、夢を共有してもらうということでしょうか。

 竹野 完全に思い通りにできているわけではないのですが、そう思って取り組んでいます。

出店の基準と戦略

 ――多くの店舗を展開されていますが、先方から新規出店の引き合いを受けているのでしょうか。また、どのような要素で出店の優先順位を決めているのでしょうか。

 竹野 基本的に話をいただいて出店しています。出店可能な時期であるかどうかが大事で、もし複数の話を被って頂戴した場合には、どれを優先するかということになります。今年は福岡空港店が非常に大きなプロジェクトであるため、ほかに新規出店は行わない予定です。

 ――出店を決める要素の1つが立地だと思います。以前はロードサイドが注目されましたが、どう思われますか。

 竹野 当社は駅立地の店に集中しています。ロードサイド店はほとんどやらなくなってきていますが、現在熊本の竜田口店で試しているところです。この店はうどんと焼き鳥を合わせたもので、昼はうどん、夜は焼き鳥をメインに提供しており、焼き鳥は昼にも提供していますが、注文される方は多くないです。当初は昼の売上が大きいと予測していたのですが、実際にやってみると夜の売上の方が大きいです。これが順調にいけば、今後もロードサイド店を展開していくことを検討します。

 ――1店舗の出店にはどのくらいのスタッフが必要となるのでしょうか。

 竹野 営業形態、店舗の大小によって違いがありますが、昼夜ともに営業し、座席数約100席であれば、総勢約30人、うち社員が3人必要となります。

 ――料理の味の質を維持、高めるための取り組みなどをされていらっしゃいますか。

 竹野 技術的なことを競う大会などはやっていませんが、新メニューを選ぶときにコンテストを行っています。味に関しては属人的な要素があり、店によって違いが出てきます。職人がしっかりと仕事をしている店はおいしい料理を提供できており、たとえば東比恵の本店は各料理とも職人がそろっています。本店は社員のトレーニング店舗にしておりまして、社員が交替で1カ月間泊まり込みの修業を行います。

(つづく)

【茅野 雅弘】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:竹野 孔
所在地:福岡市博多区博多駅南4-18-27
設 立:1979年4月
資本金:3,000万円
売上高:(19/3)26億900万円

<PROFILE>
竹野 孔(たけの・とおる)

1955年6月8日生まれ。76年8月、大学を中退し焼き鳥屋を創業。福岡を中心に居酒屋など飲食店を多数展開。趣味はハーレーでのツーリング。

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