将来の上場を見据え労務環境を整備~働いて楽しいと思える会社に(4)
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(株)タケノ 代表取締役社長 竹野 孔 氏
(株)タケノの代表取締役社長・竹野孔氏は若くして焼き鳥屋を創業し、一代で40数店舗を構える飲食チェーンを築いた。上場を見据え労務環境の整備に努めつつ、2019年には新本店ビルを新築し、工場を増設するなど、100店舗、売上高100億円という目標に向けて着実に歩みを進めている。現在の状況と今後の事業展開について、竹野氏に話をうかがった。
(聞き手:(株)データ・マックス 執行役員 鹿島 譲二)
コロナピンチの今こそ教育のチャンス
――働き方改革の影響はいかがですか。その前からいろいろと手を打っていたのでしょうか。
竹野 数年前に週休2日制を導入しました。また、36(サブロク)協定も締結しました。昨年4月からアルバイトも有休を取得できるようにしており、毎月約50万円分相当の有休が発生しています。人件費のほか、食材の原価率も上がり、収益力は落ちているため、全体の売上を増やすことも目標の1つです。
――昨年10月の消費増税や新型コロナウイルスの影響や対策はどうでしょうか。
竹野 とくに増税前と後で来客数や客単価などに違いは感じられません。新型コロナウイルスのためか2月末から来客数が減っていますが、それまでは例年と比べ減ってはいないです。現在はどこの飲食店も厳しいのではないでしょうか。
現場では消毒用に次亜塩素酸水のCELA水を使っています。これはアルコール除菌と異なり水で濡れた手につけても効果があり、また口に入っても大丈夫なのですが、アルコールのような速乾性はありません。また、体温が37度以上ある従業員には出社させないようにしています。ちょうど5Sのチェックに力を入れていた時期でした。
比較的時間ができるので、今後に備えて、忙しいときにはあまりできない社員教育、トレーニングに力を入れていこうと思っています。いずれは騒動が収まり、客足も戻るでしょうが、それまで整備する時間ができたととらえることにしました。
――資材、原料などで手に入りにくくなっているものはありますか。
竹野 今のところは困っていません。3カ国から原料を仕入れる体制にしようと計画を立て、中国からも仕入れる予定にしていたのですが、この状況のため中止しています。
M&Aを活用し100店舗、100億円の実現へ
――100店舗、売上高100億円という目標に向けて、どのようなロードマップを描いていますか。
竹野 現在、44店舗なのですが、今後2~3年でこの目標に到達できればと思います。昨年は11店舗を出店しましたが、数が増えてくると同じペースで出店できるかは不明になってきます。またスクラップアンドビルドも行うので、思うようには増やせないかもしれません。他方でM&Aも考えています。出店、M&Aなどいろいろな要素を合わせて到達できればと思っています。
これによって上場も可能となってくると思いますので、それも目標としています。トーマツのショートレビューを受け、いくつか指摘をいただいています。労務の管理・整備などはすぐにはできないと考え、週休2日制などに着手しました。これらを進めたうえで、その負担増に耐えきれる収益が上がるかどうかということを確認しておかないといけません。労働環境の整備が経営を圧迫しかねないとわかっていましたので、先に手を打つ必要があると思ったわけです。
来年の出店は、現在のところ5店舗計画しています。基本的には自社で物件を選ぶわけではなく、話をいただいて出店していますので新規出店は縁だと思っています。立地以上にタイミング、出会いを重視しています。
(了)
【茅野 雅弘】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:竹野 孔
所在地:福岡市博多区博多駅南4-18-27
設 立:1979年4月
資本金:3,000万円
売上高:(19/3)26億900万円<PROFILE>
竹野 孔(たけの・とおる)
1955年6月8日生まれ。76年8月、大学を中退し焼き鳥屋を創業。福岡を中心に居酒屋など飲食店を多数展開。趣味はハーレーでのツーリング。法人名
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