厳しさ増すパチンコ業界~ホールの生存戦略とは(中)
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パチンコホール(以下、ホール)の経営環境は厳しさを増している。2018年2月施行の「改正風営法」による遊技機への規制強化に端を発した遊技人口の減少加速は、ホールの統廃合に弾みをつけ、大手ホールによる市場の寡占化を招いた。こうしたなかで、20年4月1日に施行された「改正健康増進法」への対応や、21年1月末を期限とする「新基準機への総入れ替え」など、費用負担が先行する現況は、中小規模のホールにとって企業存続をかけた“勝負所”だ。各社が選択する生存戦略とは――。
改正健康増進法とコロナショックのダブルパンチ
遊技人口の減少が進むなか、1日の客単価も下がっている。経済産業省の調査によれば、調査対象となった全国のホールにおける19年の市場規模は、3兆4,191億6,700万円。スロットにおいて、1度に獲得可能なメダル枚数に上限がかかる前(通称:3,000枚規制)の16年比で、2,527億9,400万円の減少となった(【図2】参照)。
売上減に歯止めがかからないなか、20年4月、改正健康増進法施行にともない「屋内原則禁煙」となった。そして、中国に端を発した「新型コロナウイルス」の感染拡大である。
改正健康増進法施行により、ホールでは「喫煙室の設置」もしくは「加熱式たばこエリアの設置」が必要となるが、後者の場合、同エリアに20歳未満の店員・来店客が立ち入れなくなるため、現実的ではない。ほとんどのホールが喫煙室の設置を選択する。
ホール運営大手の(株)ダイナムは、対策費として約10億円の予算を確保。同じくホール運営大手の(株)マルハンは、分煙ブース1つあたり約300万円の設置費用をかけており、大手ホールや、買収攻勢で規模拡大中のホールほど、費用負担が重くのしかかった。
喫煙室の設置には1部屋あたり100~400万円かかる。厚生労働省から助成金を得られるが、100万円を上限としており(諸条件あり)、手出しを余儀なくされている。禁煙による来客数への直接的な影響はどうなのか。以下、各ホールの声をまとめた。
【賛成意見】
・他業種も含めた受動喫煙防止の取り組みに対して、ホールのみが喫煙可能となると社会的評価に悪影響の可能性が高い。
・空調、壁紙などの清掃メンテナンスコストが下がる。
【反対意見】
・ホールにおける喫煙者の割合は他業種と比較して高く、多くの顧客に不都合な環境での遊技を強いることは営業上のリスクと考える。
・客滞時間(遊技時間)の減少、ひいては売上減少につながる。
【その他意見】
・分煙は「世の中全体の流れ」であり、その流れには逆らえない。
・売上減少に直結するため、損得勘定では反対。しかし、受動喫煙防止の社会的流れを鑑みると賛成し、取り組まざるを得ない。
・そもそもホールにたばこを吸いにきているわけではないので、関係ない。
各ホールの対応は、店舗内に複数のブースを設置したり、店舗外に喫煙所(スタンド灰皿など)を設けたりと、千差万別だ。(つづく)
【代 源太朗】関連キーワード
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