コロナショックと映画館~客足を取り戻せるか
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最新作をビデオ・オン・デマンド配信
NBCユニバーサルの傘下で、世界的知名度を誇る映画会社、ユニバーサル・ピクチャーズが米国で劇場公開中の新作映画をビデオ・オン・デマンド配信した。新型コロナウイルスの感染拡大によって、映画館が閉鎖されたことを受けての対応だ。配信されたのはリメイク版「透明人間」、過激な暴力描写が物議を醸した「The Hunt」、アニメ映画「トロールズミュージック☆パワー」の3作品。
配信は、19.99ドル(約2,150円)で48時間視聴可能なレンタル形式。もしもこのサービスがコロナ収束後も提供されるなら、映画館から遠ざかる映画好きも相応数出てくるものと考えられる。複数の動画配信サービスが誕生し、盛況を極める中、それでも映画館に足を運ぶのは、最新映画は映画館でしか公開されていない、というのも理由の一つだ。公開されるまでの時間差がなくなるならば、より利便性の高い方を選ぶのは当たり前。コロナショックは、予期せず最新映画の楽しみ方に選択肢を与えたと言える。
日本映画市場は好調だったが
日本の映画市場は、2019年、映画館の入場人員は1億9,491万人、興行収入は2,611億8,000万円を記録(『2019年(令和元年)全国映画概況』参照)。興行収入に関しては、発表を開始した2000年以降最高記録となった。
もちろん、国内の有名映画会社の業績も好調。東宝(株)の20年2月期(連結)の売上高は2,627億6,600万円、経常利益は550億6,800万円で前期比増収増益。映画営業事業においては、新海誠監督の「天気の子」、同社の代名詞でもある「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(共同製作)」が業績を牽引した。
松竹(株)の20年2月期(連結)の売上高は974億7,900万円、経常利益は44億6,200万円でこちらも前期比増収増益を果たした。「引っ越し大名!」や「男はつらいよ お帰り寅さん」などヒット作を多数手がけたことが奏功した。しかし、両社ともに21年2月期の業績予想に関しては、算定困難として発表していない。新型コロナウイルスの影響だ。
本来ならば、来週からはじまる大型連休(ゴールデンウイーク)には大作映画が複数公開され、映画会社や映画館にとっては稼ぎ時になるはずだった。しかし、映画館が営業自粛中のため、それは叶わない。依然収束の見通しが立たない新型コロナウイルス。エンタメ業界では、YouTubeなどの動画共有サービスを通じて、アニメ作品やLIVE映像などが期間限定で無料公開されるという動きが相次いでいる。自粛期間が長引き、コンテンツの消費はオンライン上で行うものという感覚が染みつけば、映画館にとって客足をコロナ以前の水準に戻すのは、厳しくなるだろう。映画会社は、これから先の配給の在り方を、今のうちから真剣に考えておかなければならない。
【代 源太朗】
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