長期的な視点から課題に取り組む 食の安全のため「種子」条例を
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福岡県議会議員 原竹 岩海 氏
原竹岩海氏は福岡県議会当選5回。筑紫野市議時代を含め、議員として約30年にわたり地域の問題に取り組んできている。福岡県の抱える課題などについて原竹氏に話をうかがった。
道路無料化による住民の利便性の向上
――ご経歴についてお聞かせください。
原竹岩海氏(以下、原竹) 出身は筑紫野市の農家です。議員秘書などを経て、1991年から筑紫野市議、2003年から福岡県議を務めさせていただいております。
――議会で主に取り組んできた政策についてうかがえますか。
原竹 多岐にわたりますが、主に道路行政、環境行政などに取り組んできました。道路では、鳥栖筑紫野道路(筑紫野市―鳥栖市、13.5km)、冷水道路(筑紫野市―飯塚市、5.9km)の無料化を実現しました。鳥栖筑紫野道路公社は建設借入金が返済できたので無料化したとしていますが、実際には10年前に所期の目的を達成しており、私は早期の無料化を訴えていました。冷水道路は並行する国道200号線の存在もあって長年赤字を出しており、私は冷水道路の無料化と併せて、国道200号線の安全性の確保および周辺の土地をガソリンスタンドやレストランなどにして有効活用することで、経済効果により将来の税収増を達成すべきと訴え続けました。
環境問題では産業廃棄物税と森林環境税の導入などを実現しています。筑紫野市の産業廃棄物最終処分場問題に取り組むなかで、産廃業事業者のみでなく、産廃の排出団体・事業者の責任も大きいと認識するようになりました。将来の抜本的解決のためには、建設物の解体など産廃の分別と再利用の推進、利用できる産廃の有効活用と産廃削減の技術を研究する企業への支援などが重要であると考え、知事に産業廃棄物税の導入を強く訴え、04年から導入されました。
中山間地の産廃処分場設置問題、ダムの水質安全性維持の問題に取り組むなかで、森林業の後継者不足、森林の荒廃、そこに目をつけた産廃業者による山々の買収行為などが大きな社会問題となっていることを認識しました。高知県の森林環境税導入、荒廃林改善の事例を参考に、知事に森林環境税導入を何度も訴え、08年から導入されました。現在では毎年約14億円の税収があり、森林業従事者の育成や、荒廃林の整備などに用いられています。
食の安全、安心のため「種子」条例の制定を
―現在、取り組んでいる福岡県の重要な課題について教えてください。
原竹 多くの重要課題がありますが、とくに食の安全、環境問題、災害対策について県民の皆さまに広く知っていただきたいと思っています。
食の安全に関連して、種子をめぐる法制が大きく変わっています。種子の安定した生産と寒冷地帯から温暖な地域までの普及のため、主要農作物種子法が1952年に制定されています。安倍政権はTPP・対米交渉において自動車輸出を優先させるため、農作物、酪農品などの輸入枠を開放することを念頭に、国会で議論を尽くすことなく種子法を2018年に廃止しました。私はこの措置が将来、食の安全と安心に影響をおよぼし、多国籍企業による主要農作物の種子の支配を招く可能性を憂慮し、種子法に代わる県独自の条例の制定を求め、多くの市民、関係団体と行動しています。
環境問題では、森林環境譲与税問題、産業廃棄物処理問題などがあります。国は19年度から森林環境譲与税を導入し、全国の森林を守っていくことを目的に国民から1人1,000円を徴収していますが、同じ内容の目的税がすでに37府県で導入されており、2重課税の状況が生じています。また、税の配分内容と配分先の自治体が税目的から逸脱しており、たとえば、東京都や横浜市などはもともと「林業費がゼロ円」であるのに、多くの税が配分されているという欠陥について、県に訴えています。筑紫野市には日本最大級の産業廃棄物最終処分場(安定型)がありますが、約130万トンの産業廃棄物が今なお埋め立てられており、県に対して抜本的な問題解決に向けた対応を訴え続けています。
豪雨災害が北部九州で3年連続発生しています。私は筑紫野市の事業の期成会顧問として、豪雨による河川の氾濫を防ぐための地下河川の造成を県事業として行うよう提案し、国からの予算を得て実現しました。これは河川の地下約10mに直径5mのトンネルを掘り、氾濫する雨水を流し込んで下流域で放出するというもので、九州初の事業です。
―最後に読者にメッセージをお願いします。
原竹 今後も、県民の皆さまが安心して生活できる環境を目指し、活動していきたいと思っております。
【茅野 雅弘】
<プロフィール>
原竹 岩海(はらたけ・いわみ)
1953年7月筑紫野市生まれ。79年久留米大学商学部卒、91年筑紫野市議会議員に当選(3期12年)、2003年福岡県議会議員に当選(現在5期目)。15~16年県議会副議長。国民民主党福岡県総支部連合会副代表・常任幹事。
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