2024年11月18日( 月 )

九州地銀(18行)の2021年3月期 第1四半期決算を検証する (3)

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 【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の2021年3月期 第1四半期(6月期)の貸出金残高順位表である。

(1)九州地銀(18行)の貸出金残高順位表
~この表から見えるもの~
◆九州地銀(18行)の20年6月期の貸出金残高は、前年比3兆1,506億円の42兆4,591億円(前年比+8.0%)となっている。
◆1位は福岡銀行で、前年比+1兆1,461億円の11兆4,073億円(前年比+11.2%)。九州地銀18行のなかで、ただ一行だけ10兆円を超えている。20年3月期比+5,904億円(同+5.5%)。シェアは26.9%を占めている。
・2位は西日本シティ銀行で、前年比+7,047億円の7兆8,328億円(前年比+9.9%)。20年3月期比+4,916億円(同+6.7%)。シェアは18.4%。
・3位は肥後銀行で、前年比+2,500億円の3兆8,200億円(前年比+7.0%)。20年3月期比+1,236億円(同+3.3%)。シェアは9.0%。
・4位は鹿児島銀行で、前年比+1,777億円の3兆7,017億円(前年比+5.0%)。20年3月期比+1,436億円(同+4.0%)。シェアは8.7%。
・5位は十八銀行で、前年比+1,386億円の2兆1,781億円(前年比+6.8%)。20年3月期比+1,246億円(同+6.1%)。シェアは5.1%。合併後の十八親和銀行を主導しているのが読み取れる。
◆6位は宮崎銀行で、前年比+965億円の2兆881億円(前年比+4.8%)。20年3月期比+166億円(同+0.8%)。シェアは4.9%。宮崎銀行までが貸出金残高2兆円以上の地銀。
・7位は佐賀銀行で、前年比+1,903億円の1兆9,330億円(前年比+10.9%)。20年3月期比+1,680億円(同+9.5%)。シェアは4.6%。
・8位は大分銀行で、前年比+289億円の1兆8,456億円(前年比+1.6%)。20年3月期比+130億円(同+0.7%)と低迷している。シェアは4.3%。
・9位は親和銀行で、前年比+453億円の1兆8,314億円(前年比+2.5%)。20年3月期比+336億円(同+1.9%)。シェアは4.3%。
・10位は熊本銀行で、前年比+1,804億円の1兆7,299億円(前年比+11.6%)。20年3月期比+1,138億円(同+7.0%)。シェアは4.1%。
・11位は北九州銀行で、前年比+625億円の1兆2,215億円(前年比+5.4%)。20年3月期比+408億円(同+3.5%)。シェアは2.9%。ここまでが貸出金残高が1兆円以上の銀行。
◆12位からは1兆円以下の銀行で7行。
・南日本銀行は、前年比+164億円の5,778億円(前年比+2.9%)。20年3月期比+89億円(同+1.6.%)。シェアは1.4%。貸出金残高が5,000億円台は、南日本銀行、第一地銀の筑邦銀行、第二地銀の宮崎太陽銀行の3行。
・福岡中央銀行・豊和銀行の2行が4,000億台。以下、長崎銀行・佐賀共栄銀行となっているが、
このなかで目に付くのは豊和銀行。豊和銀行は、前年比+44億円の4,060億円(前年比+1.1%)と、18行中一番伸び率が低く、20年3月期比も+49億円(同+1.2%)と低迷している。シェアは1.0%。

(2)九州地銀の金融グループ(3社)の貸出金残高順位表を見ていただきたい。
~この表から見えるもの~
◆1位はふくおかFGで、前年比+1兆5,141億円の16兆9,923億円(前年比+9.8%)。20年3月期比+8,661億円(同+5.4%)。
・2位は西日本FHで、前年比+7,143億円の8兆526億円(前年比+9.7%)。20年3月期比+4,985億円(同+6.6%)。
・3位は九州FGで、前年比+4,052億円の7兆4,552億円(前年比+5.7%)。20年3月期比+2,683億円(同+3.7%)。ふくおかFGのシェアは52.3%、西日本FHは24.8%、九州FGは22.9%となっており、福岡県に本社を置く金融グループが優勢となっている。

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【表2】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の20年6月期の預貸率順位表である。

~この表から見えるもの~
◆預貸率が100%を超えているのは熊本銀行111.41%、長崎銀行110.89%、北九州銀行101.24%の3行。4位は福岡銀行で97.08%。以下、5位は西日本シティ銀行88.97%。6位は鹿児島銀行87.83%。7位は十八銀行80.23%で、ここまでが80%を超えている。いずれも金融グループ傘下の銀行であるのが目に付く。
◆8位は宮崎銀行で79.51%。ここまでが18行平均の79.38%を超えている。9位の福岡中央銀行から16位の宮崎太陽銀行までは70%台。60%台は筑邦銀行(69.69%)と大分銀行(60.37%)。いずれも第一地銀であり、厳しい状況にあるのが読み取れる。

<まとめ>
  新型コロナウイルス感染拡大により事業が停滞し、中小企業は厳しい経営環境にある。日銀のゼロ金利政策や金融グループの攻勢もあり、「貸したくても貸せない」状況にある地銀の預貸率はさらに下がることになりそうだ。

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(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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