2024年07月19日( 金 )

ところで今は、資本主義なの?

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 利を生んでこそ資本主義

fukei 難しいことを言わなくても、誰もが資本主義(キャピタリズム)と呼ぶ。源は、オランダ、イタリア(フレンチェ)等々の16世紀の時代にさかのぼるらしい。まさしく資本が増殖する経済活動ができる経済体制を資本主義社会というそうな。我々、現世に生きている凡人たちは「現在は資本主義社会であり、今後も半永久的に続いていくであろう」と認識している。

 大蔵省(現・財務省)の大幹部であった榊原栄資氏と、株を論評してきた著名なアナリスト・水野和夫氏が共同出版した。その本のタイトルは「資本主義の終焉、その先の世界 『長い二一世紀』が資本主義を終わらせる」だ。2人のプロフィールからすると、誰もが「資本主義擁護の権化」と思うだろう。その彼らが「資本主義の終焉」と叫べば、誰もが興味を持つ。ついつい購入して読みたくなるはずだ。

 『より速く、より遠くに、より合理的に』という行動原理で展開してきた資本主義が、今、限界を迎えている。グローバリゼーションの進展によりフォロンティアは消滅したし、各先進国は低成長時代に入った。資本を投資しても利益を生まない超低金利が長期にわたって続く『利子率革命』が先進国の大半で進行し、各国の中間層は破壊され、国民国家は『資本国家』に変貌するに至っている。はたして、終焉を迎えた資本主義の先にはどのような世界が待っているのだろうか。という、魅力的な書き出しで始まる。

マイナス金利政策

 日銀・黒田総裁はどれだけの自信を持って導入したのだろうか、マイナス金利政策を。簡単に言えば、「日本銀行の当座に預けた預金からマイナス金利=手数料を頂きます」である。「マイナス金利導入」と新聞紙上に載った見出しを見るに、「あー、ついに資本主義の末期を迎えたのだ」と頭のなかで連想せざるを得ない。

 マイナス金利政策の導入で現実の金融市場では仰天事態が生じている。2月9日の市場では10年物国債の市場利回りが一時、マイナス0.01%に低下して史上初めてマイナスとなったそうだ。日経平均株価の終値は918円安の1万6,085円で今年最大の下げ幅となった。円は1ドル114.7円の円高である。1月29日にマイナス金利政策を決定し、その10日後、黒田総裁の思惑とは逆の結果が現れている。

 黒田さん!わずか10日後のことすら読めないのか。貴方の公約はいつ実現するの!こんな体たらくな経済政策に終始していれば近々、御怒り遊ばされる安倍首相にクビを切られるよ!

 振興策は着実に実っていると思うが・・・

 2月8日、小川洋福岡県知事を取材した。知事曰く、「気というものはとても重要であることをいまさらながら痛感している。安倍政権が誕生して以来、年末年始に集まる経営者の方々には、自信溢れる雰囲気が漲っている。その力強いエネルギーいただき、こちらも発奮するようになる。この3年間、どこの新年会でも参加者が増えている」。

 地域振興の政策がことごとく成果をあげている。(1)中小企業の支援も順調にいっている。(2)海外進出のサポートもスームズだ。とくに農水産物の輸出金額も年々増加している。(3)観光インバウンドの策を講じている。空港、港湾の拡充も後手に回っていない。(4)70歳以上の雇用対策(福岡県70歳現役応援センター)は、セブン-イブンともタイアップして結果を出している。小川県政が県下一円に気配りをしながら振興策を推進していることは高く評価できる。

 ところが、一般大衆が景気好転への実感を抱いているとは言い難い現況にある。2月8日、2015年の家庭所帯の収入状況について国の発表が出された。全所帯の実質所得は2014年よりもマイナスということである。いつもタクシーに乗車すると運転手の方々に収入状況を聞き取りする。「昨年末の稼ぎは、一昨年からほとんど伸びがなかった」と証言する運転手さんたちが多い。資本主義末期になると末端の方々が報われるのは、ごく僅かな可能性しかないのだろうか。安倍首相、頼みますバイ! 庶民の暮らしを豊かにしてください。

 

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