2024年11月14日( 木 )

“行動”することから見える新しい道〜日本と海外の人材の違い(前)

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 9月8日、スタートアップ企業やベンチャー企業、中小企業の第2の創業の支援などを目的としているコワーキングスペース・fabbit(株)は、米名門スタンフォード大学アメリカンフットボール部コーチである河田剛氏、APAMAN(株)の代表取締役社長・大村浩次氏、(株)ボードウォーク・キャピタルの代表取締役社長・那珂通雅氏の3者を交えてオンラインセミナーを開催した。

コワーキングスペース fabbitが提供するオンラインセミナー

 fabbit(株)は現在、国内23カ所、国外23カ所の施設と約10,000名以上の会員を有している。スタートアップ企業などへのサポートとして、定期的にオンラインセミナーやビジネスマッチングイベントなど多種多様なイベントの開催を通した支援だけでなく、世界クラスで活躍する各業界の著名人をアドバイサリーとして招き、経営アドバイスやエンジェル投資などの支援も行っている。

 今回行われたオンラインセミナーには、fabbit入居者をはじめ約500名が参加した。第一部では、河田氏が特別講演「行動力と、ポテンシャルを見据えたコミュニケーション能力」と題して、これまでの経験談を通して感じた日本と海外のビジネスマンとして考え方、行動力の違いなどについて講演を行った。第二部では、河田氏に加えて大村氏、那珂氏がオンラインで加わり対談を行った。

那珂社長(左)、大村社長(右)

第一部:疑問の8割は「行動」すればわかること

 河田氏はもともと、普通のサラリーマンであったというが、漠然とアメリカンフットボールに携わる仕事をしたいという思いをもっていた。そのようななか、訪れた転機が元NFL選手のケント氏との出会いだったと話す。選手をスカウトしに来日しているケント氏と出会ったことを転機として、河田氏は海外との関わりを急速に加速させていく。そのなかで日本と海外ではコミュニケーションなどに対する考え方が違うと気づいたという。

河田コーチ

「日本人は保証や待遇面など細かいことを聞いてくるのに対し、普通の外国人はとりあえず動く。事前にいろいろ聞いてくるのは日本人の悪い癖である。本当にやりたいことがあるにもかかわらず、お金や保証の問題などを言い訳にして動かない。日本人がする質問は詳細なことが多いが、その質問の8割はやってみればわかることだ」

 河田氏は現地で言われたことに大きな衝撃を受けたという。しかし、言われてみればたしかにその通りであると共感できる内容だ。行動するために考えるのではなく、考えるために行動すべきということだ。「これは本当に無謀なことをやるのではなく、やりたいことへと最短距離で進むためだ」と河田氏は話す。多くの日本人は慎重であることに重きを置き、保守的になりすぎるきらいがあるという。

 シティグループ証券の元副社長であり、本場アメリカで金融業界の最前線にいた那珂氏は、以前のインタビューで「今回のコロナ不況では、いかに新しいことにスピード感をもって取り組めることが重要である。これは、逆にいえば、海外企業に差をつけられた日本企業が挽回できるチャンスでもある」とコメントしている。

(つづく)

【麓 由哉】


<プロフィール>
河田 剛
(かわた・つよし)氏
スタンフォード大学フットボール部 Offensive Assistant
1991年 城西大学でアメリカンフットボールを始め、1995年よりオービック・シーガルズで活躍。選手として4回、コーチとして1回、日本一達成。引退後、2007年に渡米し、スタンフォード大学アメリカンフットボール部でボランティアコーチ就任。2011年より正式に採用(現職)。スタンフォードでの14年の活動を通して、日本の政財界と多くのコネクションを築く。現在、日米問わず、大手企業やスタートアップ企業のアドバイザーを務める。


<プロフィール>
那珂 通雅
(なか・みちまさ)氏
ボードウォーク・キャピタル(株) 代表取締役CEO
世界的企業の1つであるシティグループ証券(株)の元取締役副社長として、金融市場の本場米国で業界に携わってきた。同社を退任後、日系ベンチャー企業が海外進出することが、日本が他国と戦っていくためには必要であると感じ、投資会社であるボードウォーク・キャピタル(株)を設立。(株)ベクトル、(株)ビジョン、(株)アイスタイル、(株)ジーニーなど、日本を代表する成長企業の社外取締役を務めながら、自らの豊富な経験に基づいて行われるエンジェル投資や投資先の良きアドバイザーとして経営支援をしている。


<プロフィール>
大村 浩次
(おおむら・こうじ)氏
APAMANグループ APAMAN(株) 代表取締役社長
1999年に“ITを活用して不動産業界の質的向上に貢献したい” という思いからAPAMAN
(株)を設立。不動産業界とIT業界を繋いだ先駆者として知られており、同社の国内店舗数は日本一を誇る。その後、ITノウハウを活用し、コワーキングスペースを提供するfabbit(株)の創設やその他のシェアリングエコノミーなど多種多様に事業を展開している。現在、国内だけでなくアメリカをはじめとした海外事業への展開も加速させている。

(後)

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