2024年12月21日( 土 )

世界平和に向けて(16)外国人技能実習制度の課題とDEVNETの役割 DEVNET INTERNATIONAL・アザーニュース

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 Net I・B-Newsでは、世界の有識者約14,000名に配信しているニュースサイト「OTHER NEWS」(配信言語は英語、スペイン語、イタリア語)に掲載されているDEVNET INTERNATIONALのニュースを紹介している。DEVNETは日本に本部を持つESCOS認証カテゴリー1に位置付けられている一般社団法人。今回は外国人技能実習制度の課題とDEVNETの役割に関する12月5日付の記事を紹介する。(該当記事


 発展途上国の経済成長に向けた国際的支援として実施されてきた外国人技能実習制度だが、時代の移り変わりとともに状況は変わり、課題も出てきている。

 その課題の1つが、技能実習が単なる労働となってしまう場合があることだ。同制度の目的は、技能、技術または知識の開発途上国などへの移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することであり、発展途上国の若者を単なる労働者として迎え入れ、日本の人材不足を解決することではない。しかし、多くの技能実習経験者は、実習先で得た技術・知識を自国で活用することなく、他業種へ就職、もしくは得た資金源で他業種での起業を行っている。

 実習で学んだ業種での起業および就職を促進すべく、実習制度の両当事国政府、さらには我々のような国際的第三機関による啓蒙活動が必要不可欠であると同時に、外国人技能実習生が実習で得た技術・知識を活用することができる「制度および仕組み」もつくる必要があるだろう。

 DEVNETは、この課題への対策の1つとして 2020 年2月にベトナム商工会議所(VCCI)と連携を図るほか、ハノイ工科短期大学とインターンシップ協定を結んだ。

 同大学美容学科の学生インターンが目的であり、ベトナムの教育機関と日本のインターン受入企業を結ぶことで、仕事の現場で学びながら単位が取れる環境づくりと、技能実習制度を補完するインターンシップの意義を明確に伝えるためである。

 ベトナムおよび、カンボジア、ラオス、タイの貧困地域は年間現金収入が2 万5,000円から5万円程度である。この現実を変えるためには、技能実習制度やインターンシップ制度を始めとした人材育成プログラムを確立し、実践する必要がある。

ベトナム副首相チン・ディン・ズン氏(右)とDEVNET INTERNATIONAL 世界本部 総裁明川文保氏
ベトナム副首相チン・ディン・ズン氏(右)と
DEVNET INTERNATIONAL 世界本部 総裁
明川文保氏

 国境を越えた協力体制を確立するために、DEVNETは、16年ベトナム副首相チン・ディン・ズン氏(Trinh Dinh Dung)や、18年以降ベトナム商工会議所副会長兼ベトナム女性起業家協会(VWEC)会長のMinh氏との協議を訪越の度に行っている。

 また、DEVNETはJICAと連携し、実習生が帰国後、日本で習得した技術を活用し、起業するための事業資金の投資・融資を実現する仕組みつくりに向けて話が進んでいる。

 日本政府はJICAに対し、本年1月第一回協議の上で、技能実習を終えた帰国者が本国において第一次産業(農水畜林業)で起業する場合に投・融資を可能とすることが決定した。コロナ禍により、実施が延期されているが、再開は遠くない。

 ベトナムでは第一次産業従事者は全体の6割を占めており、技能実習生の実家の多くが従事しているためそのインパクトは大きい。さらに、日本の農協・農業共済制度をベトナムで普及すべく、日本政府・農林水産省と協議を進めている。天災、病害虫、火災などにより経営が安定しない農水畜林業の弱点を共済制度・保険制度によって補うことができる。

ベトナム女性起業家協会(VWEC)会長 Nguyen Thi Tuyet Minh氏(右)と明川氏
ベトナム女性起業家協会(VWEC)会長
Nguyen Thi Tuyet Minh氏(右)と
明川氏

 DEVNETが進める海外案件に対しては、日本政府共済制度運営組織により特例措置として積極的に海外技術指導を受けられることの確約を得ている。受入を行う民間企業への支援もより重要になってくる。

 コロナ禍の影響により、日本の受入企業の一部では業績が悪化することで、雇用を維持できない状況になっている情報も入っている。しかし、日本主体の制度で招かれた実習生にデメリットがおよぶことがあってはならない。そのためには日本国政府および我々が、受入企業と就労している実習生の状況を正確に把握し、支援とともに解決しなければならない。

 DEVNETは、技能実習制度が正常に機能するために、実習生の権利が保障されるように、受入企業、および管理団体、そして送り出機関のチェックを、政府や実習生の出身国の日本大使館と連携を取り、情報収集をしながら行っている。

 また、DEVNETは制度の斡旋およびこれらの課題解決に向けて、賛同する日本における国際的影響を持つ民間企業らとのコミュニティの形成に動いている。その第一歩として、20年10月20日に日本の愛知県名古屋市にDEVNET JAPAN名古屋支部を設立した。課題解決には、制度や一部の機関だけではなく、より多くの民間企業間におけるコミュニティが必要である。コロナ禍における実習生の受け入れを受入企業単体の責任にするのではなく、受入企業同士の連携によって支援を行う必要があるからだ。

(了)

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