2024年11月22日( 金 )

虫けらよ!!オサラバ!!(1)~アメリカ帝国の末期

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米国国民の感性無自覚病

 アメリカの新型コロナ感染症による死者数は37万人を超えた(実数は43万人という説もある)。世界に君臨する米国が世界一のコロナ感染死者数という驚きの事実に直面すると、「あー、米帝国の衰退の一断面か」とうなずくことになる。世界最悪の死者数が発生した原因は明白である。米国民全員を保護し、安心できる医療体制を築いていなかったからだ。「自前の力で医療にかかれない者は仕方がない」という、貧乏人を侮蔑し、虫けら扱いにしてきたツケが回ってきたからであろう。

 さらにショックを受けたのは、コロナ感染死者37万人の悲惨な状態に対して、米国民が「我々の生命を疎かにしている。どうしてくれるのだ」という厳しい怒りの声を上げなかったことである。もともと、米国民は結束して強力な世論形成を巻き起こし、意思表明を行ってきたものだ。「我々、米国民の命を守れ!!」の伝統が失われたことに危機感を覚える。

 米国民全体がコロナ感性無自覚病に侵されているのか?米国は今や、「富と貧困の差」の拡大で国民は分断され、奈落へ突き落されている状況である。もう分断という段階ではなく、お互いに憎しみ合う関係にまでエスカレートしているのだ。そこをトランプは巧妙に煽り立てて、大統領のポストに就いた。そして国民を憎悪の対立へ導いた。その結果、「米国民は一体」感情が瓦解したのである。

トランプは自策に溺れた

 1月6日、米連邦議会議事堂ではバイデン大統領承認の討議が行われていた。トランプは支持者にSNSで「国会議事堂へ行こう」と煽りまくった。集合した支持者のなかには狂暴な武闘派もいる。この連中は「議事堂占拠」を狙っていた。米国にしては珍しく、当初の警備体制がお粗末であった。トランプに先導された連中が雪崩れ込んだために、国会議員たちは逃避していった。その間隙を縫って、議事堂の占拠が4時間以上継続された。米政治史上、稀有な暴力による議事堂占拠という事実だけが残った。

 この扇動行為を行ったトランプはすべてを敵に回してしまった。まずは弾劾決議が行われるであろう。大統領からただの人になれば、犯罪者へ転落する可能性は非常に高い。トランプが大統領選に勝利できたのは、「富と貧困の非和解的な激突」という社会的、時代的な背景があったからである。この男は「米国民のために」という使命感を一かけらも持ち合わせていない。ただ「我がため、身内のため」しかない我が勝手なやつであった。

 最後のトランプ発言を忘れてはならない。「議事堂選挙から流れが変わった。すべてを敵に回した」ときに彼は何と言ったのか!!「議事堂に突入した支援者たちの行為を批判する、認めない」という姿勢をあらわにしたのである。トランプ支援者へ告ぐ!!「我が勝手なやつの脳裏には、支援者たちの活用目的が我欲貫徹の道具、虫けら扱いであった」という冷酷な事実を知るべきであった。

「1・6議事堂占拠」を上回る大がかりな暴動が起きる

 バイデン大統領誕生ですべてが解決したのではない。「米国民の分裂による新たな激闘の始まり」と位置づける覚悟が肝心であると警告を発したい。バイデン新大統領および民主党首脳陣は短期間で「白人貧困層対策」に決着をつけないと、同じ暴力行為の繰り返しとなるであろう。今までは「反トランプ」で民主党の旗の下に、共同行動が展開できてきた。

 ところが、民主党が政権を握った。国家権力を握れば、それぞれ己が秘めてきた政策の実現に必死で専念するようになる。そこから新たな対立軸が生まれる。民主党内の思想は多様にわたっている。だからこそ、今度は民主党内の思想・価値観の対立が危惧される。民主党市民派(通称・左派)は(1)貧困層救済政策を先行重視する、(2)個人権利の保護・発展の政策協調に先走る。そうすると、同党中道派・右派から反発を食らう。

 その反目が激化するとしよう。そうなると、外部の共和党側から反撃を浴びることが想定できる。加えること、トランプ支持私兵武闘派が必ず生まれる政治空白に乗じてつけ込んでくる。トランプを支持していた武闘派は、彼のくびきから解放された。だからこそ、次からの暴力行為は一段と過激になることは間違いないであろう。そうなれば、「2021・1・6米議事堂占拠」の規模をはるかに上回る大暴動が発生する確率が高まることになる。

 それだけ米の統治システムにもガタがきているということの証明になる。米国民もここは虫けら扱いされずに、自考に基づいた行動判断をしていただきたい。

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