急速に拡大する化粧品通販市場~主力商品はスキンケア、コロナ禍で「おうち美容」も
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コロナ禍でも売上高が増加
近年、急速に成長を続ける化粧品通販市場。その市場規模は2000年の1,770億円から18年に4,292億円と18年間で約2.4倍に拡大してきた(TPCマーケティングリサーチ(株)、「通販化粧品の市場分析調査」)。また、20年の化粧品市場は、小売ベースでは4兆452億円で前年比9.7%減とコロナ禍で縮小するなかで、「公式通信販売(自社EC)」は3,845億円で同1.0%増と微増が見込まれている(富士経済、「化粧品業態別販売動向とインバウンド実態調査2020」)。
「化粧品通販売上高ランキング調査」(通販新聞社、以下、ランキング調査)によると、19年6月~20年5月のランキング上位85社の売上高合計は前期比4.0%増。コロナ禍でもニーズがある。
主力商品はスキンケア、「おうち美容」も人気
化粧品通販市場の主力商品は、化粧水、美容ジェル、美容液、クレンジング、クリームなどのスキンケア化粧品。コロナ禍による会食の自粛やリモートワークなどで、口紅やチークなどのメイクアップ化粧品が苦戦するなか、在宅時間の増加による「おうち美容」のニーズでスキンケアアイテムは底堅い。スキンケア化粧品の場合、自分に合うものであれば、あまり変えずに同じシリーズを使い続ける人も多い。そのため、評判のよいコスメはリピート商品になりやすい。
たとえば、同ランキング1位の新日本製薬(株)(売上約305億円)は、04年に発売されたロングセラー主力商品の『パーフェクトワン モイスチャージェル』があり、前年比12.4%増となった(※1)。この美容ジェルは「オールインワン」タイプだ。洗顔後に肌を整えて、乾燥が気になる部分を保湿するという、化粧水から化粧下地までの6つのスキンケアアイテムがもつ機能があるため、「時短ニーズ」の強い世の中で根強い人気がある。
同ランキング2位のオルビス(株)は約296億円(同1.2%減)、3位の(株)ファンケルは約290億円(同7.0%増)(※2)と、上位3企業の売上高はほぼ同規模だ。
異業種からも参入
化粧品通販市場は、新日本製薬のほか、キューサイ(株)など健康食品通販企業が参入しているケースも多い。化粧品と健康食品は同じように消費者が定期的に購入し、生活のなかで使う商品であり、通販マーケティングや法規制に共通点や類似点が多いことも参入しやすい理由だろう。15年に機能性表示食品制度が開始されて以来、健康食品の機能をはっきりと表示しやすくなり、大手メーカーは健康食品通販事業を強化している。
コロナ禍で、メイクアップ化粧品の通販ニーズもあるだろう。一方、メイクアップ化粧品は色選びや使用感のチェックなど商品を店舗で直接見て購入したいという声も根強い。一部で取り組みは始まっているが、「リアル」ではないオンライン上で、店舗での色選びや使用感などの「化粧品選び」をどこまで再現できるのか。今後の各社の展開が注目されている。
※1、※2:「化粧品通販売上高ランキング調査」(通販新聞社)より。
【石井 ゆかり】
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