ネットバブルの寵児、折口雅博氏の自伝『アイアンハート』を読む~逃避先の米国で、あのトランプ前大統領の知遇を得て再起!!(4)
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ネットバブルの寵児が戻ってきた。人材派遣大手グッドウィル・グループ(株)元会長・折口雅博氏が自伝『アイアンハート』(昭文社刊、税別定価1,500円)を出版した。副題は「ゼロから12年で年商7,700億円企業を創った不撓不屈の起業家」とある。日本ですべてを失い、米国に渡り再起、日本にカムバックしてきたのだ。早速、手に取って読んだ。逃避先の米国で何をしていたかを知るためだ。政治エンターテインメント「トランプ劇場」で米国社会の対立と分断を深めたドナルド・トランプ前大統領の知遇を得て蘇ったのだ。びっくり仰天である。
あのトランプタワーに超高級和食レストラン「MEGU」を出店
折口雅博氏は逃避先の米国で何をやったのか。自伝『アイアンハート』の成功譚の白眉である。ドナルド・トランプ氏の知遇を得るのだ。SNSを駆使した政治エンターテイメント「トランプ劇場」で対立をあおり、米国社会の分断を深めたトランプ前大統領その人だ。両者が笑顔のツーショットの写真も載っている。
GWG時代、折口氏が精魂込めてつくった超高級レストランがニューヨークのダウンタウンにあった。「MEGU」だ。2年半かけて、細部にわたってこだわり抜いて創った店で、ニューヨーカーから高い支持を得た。その顧客に「不動産王」ドナルド・トランプ氏がいた。
国連本部前にあるトランプタワーにMEGUのニューヨーク2号店(MEGUミッドタウン)をオープンする話になり、折口氏がトップを表敬訪問した。GWG会長だった2005年の春のことだ。トランプ氏の第1印象をこう綴っている。
「彼は私を観察しているような感じで多くを語らなかったが、おそらく組むにふさわしいレベルの人間だと思ってくれたのか、すっと席を立つと、まだ残る真剣な表情のなか、少しの笑みを浮かべ、握手をして立ち去った。私は、はたして気に入られたのか、相手は不機嫌だったのかと不安が湧いてきて、多少後味の悪いかたちでその場を離れることになった」
トランプ氏がお気に入りの料理は「カンズリ・シェリンプ」
その3~4カ月後、ダウンタウンのトライベッカーにあるMEGUニューヨーク本店で、メラニア夫人をともなったドナルド・トランプ氏とのディナーとなった。MEGUミッドタウンの誘致が決まった後のお祝いの食事会である。
「トランプ氏はMEGUが大のお気に入り。かんずり(辛味調味料)と小麦粉で炒めたエビ料理「カンズリ・シェリンプ」がとくに好物で、この会食でも、1人で食べるだけでなく、そのとき参加したファミリーやトランプ・オーガニゼーションの幹部に『おいしいぞ、おいしいぞ』と配って回っていたほどである」
以来、トランプ氏は自身の誕生日ディナーを、毎年、このMEGUミッドタウンで開くようになった。
「感心するのは、盛大なパーティは開かず、家族だけで屈託なく行うことだ。それこそが強い結束力となり、2016年の大統領選で大きな成果を発揮したのだと思っている」
(つづく)
【森村 和男】
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