2024年11月27日( 水 )

庇いたいでなく隠したいが?の理由

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「日本政治の腐敗、崩壊は『ウソをつく政治』によってもたらされている。自民党の松本純衆議院議員の銀座のクラブに滞在していた問題が表面化した時点で、事実を公表して謝罪する必要があった」と訴えた2月1日付の記事を紹介する。

月が替わったが、菅内閣のつきは変わらない。
クラブ活動で謝罪した自民党の松本純衆議院議員が虚偽説明をしていたことが発覚した。
この虚偽説明のほうが、はるかに罪が重い。

2012年12月に始動した第2次安倍内閣。
もりかけさくら・黒川・河井・吉川とスキャンダルまみれの政治が続いてきた。

最大の特徴は「ウソをつき続ける政治」。
さくら疑惑はまだ終わっていない。

前夜祭の明細を国会に提出させねばならない。
不起訴も不当。
検察審査会は二度の起訴相当議決を示すべきだ。
安倍晋三氏を起訴する必要がある。

国会は安倍晋三氏を参考人として招致すべきだ。
国会で平然とウソをつき続けてきた。
国会に対する冒とく、国民に対する冒とくである。

コロナ感染を爆発させて菅内閣のいうことが変わった。
それまでは、「旅行に行け、会食に行け、金を出してやる」だった。

ところが、GoToで感染爆発を招いた。
対策が必要だと言われても政策を変えようとしなかった。
最後の最後までGoToに固執した。
しかし、感染爆発が生じてしまい、緊急事態宣言発出に追い込まれた。

今度は、「移動するな、会食するな、金は出さない」である。
コロナが判明して入院を拒否したら懲役刑にすることまで提案した。

そのなかで、自民党と公明党の患部が午後11時過ぎまで銀座のクラブに滞在していたことが判明した。
自民党の松本純衆議院議員と公明党の遠山清彦衆議院議員。
その松本議員が記者の前で説明した。

銀座のクラブに行ったのは、陳情を受けるためだった。
店は閉めており、閉店した店で、1対1で陳情を受けた。
イタリア料理店、クラブともに、1人で行った。
「行動が軽かった」とは述べたが、行動に対する謝罪はなかった。

ところが、事実はまったく違っていた。

自民党の大塚高司衆院議院運営委員会理事、田野瀬太道文科副大臣も同行していたことが発覚した。
3人が訪れたのは1軒目がイタリア料理で、2軒目と3軒目が銀座のクラブ。

会食は議員3名だけではなかった。
女性2人が参加しており5名での会食だった。

同行した女性にについて田野瀬議員は
「私の知り合いの女性」だったとし、
「時短要請で苦しんでいるなか、お店にもお金を落として元気だしていこうというようなこともしたかった」と説明。

「3軒目に行く予定はなかったが、食事の最中にできたら顔だけでも出してほしいということを言われまして」訪問したと説明。
そうなると、松本議員が説明した「店は閉まっており、店内で1対1で陳情を受けた」との説明も虚偽であることが明確になった。

クラブ通いが発覚したことだけで重大な問題だが、問題が発覚した後の会見で虚偽説明したということになると、この問題のほうがはるかに重大だ。
国民に対する冒とくのレベルが半端でない。

松本議員の説明には真摯な反省の姿勢が皆無だった。
不祥事が発覚してさらに真っ赤なウソを並べるとはよほど度胸が据わっているのか、国民をなめ切っているのかのいずれかだ。

ウソをつく政治が止まらない。
ウソをつくことに対する歯止めが存在しない。
入院を拒否した人に懲役刑を科す前に、嘘をつく議員に懲役刑を科すことが先決だ。
日本政治の腐敗、崩壊は「ウソをつく政治」によってもたらされている。

菅義偉首相は官房長官時代、記者会見で三種類の発言しか示さなかった。
「指摘は当たらない」
「まったく問題ない」
「仮定の質問には答えられない」
木で鼻をくくったようにぶっきらぼうな応答に終始した。
これを「上から目線」と呼ぶ。

公務員は上に立つ者ではない。
公務員は国民に奉仕する立場にある者。
政治家の発言は国民に対する発言。

真摯に、丁寧に言葉を発するのは当然のこと。
国民の上に立って下々の者に言葉を発すると勘違いすべきでない。

やるべきことを何もせず、やるべきでないことに力を注ぎ続けてきた。
「国民のために働く内閣」と言いながら、「国民のために働か内閣」であり続けている。

コロナ感染が拡大してきたなかで国民が求める最重要の施策は感染の収束である。
感染を収束させるには「検査と隔離」を実行するしかない。
検査を拡充して陽性者を特定する。

陽性者の命と健康を守るとともに、陽性者が感染を拡大させないようにする。
これが感染収束に必要不可欠な対応だ。
世界の常識。

ところが、安倍内閣、菅内閣は「検査と隔離」の基本を無視し続けた。
検査が十分に行われない。
その結果、無症状の感染者が感染を拡大させた。

菅内閣の最大の誤りはGoToトラブル事業で感染拡大を推進したこと。
感染拡大を抑止するためにGoTo停止が叫ばれ続けたが、かたくなにGoToトラブル事業を推進し続けた。

その結果としての感染拡大であり、緊急事態宣言発出だ。
緊急事態宣言が発出される状況下で、国民は感染を拡大させないようにあらゆる手を尽くす。
その結果として、新規陽性者数の減少が生じる。

しかし、その状況下でも行動規範を逸脱する者が現れる。
その中核に位置するのが与党の国会議員。
与党の患部である。

不祥事が発覚してもウソをつき続ける。
そのウソが発覚しても「なんとしてもかばいたいとの思いからウソをついた」となお、自己正当化に走る。

隠したい事実があったからウソをついただけのこと。
女性2人、同行議員2人を合わせれば5人での会食になる。
しかも、その女性はクラブの女性である。
いわゆる「同伴」と呼ばれるものだ。

クラブ通いの問題と「虚偽説明」の問題を別々に捉える必要がある。
菅首相は火消しのために「離党」処理を行ったが、「離党」で済む問題でない。

遠山議員は議員辞職を表明した。
新たに多数会食とクラブ通いが発覚した議員は、事実を認識しながら問題を隠蔽し続けた。
松本氏の問題が表面化した時点で事実を公表して謝罪する必要があった。

3名の与党患部は議員辞職するとともに、次の衆院総選挙で出馬しないことを宣言すべきである。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

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