【取材メモ/福岡県知事選2021(18)】大義名分をめぐる駆け引き始まる 県連・藏内相談役と武田総務相の思惑
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県議団「推し」は服部副知事
昨日開かれた自民党福岡県連の臨時総会は、候補者擁立に向けての方針決定が議題となった。自民党県議団で有力議員の1人は、総会を控えた昨日午前中に、次期知事候補として以下のような条件をあげていた。
(1)コロナ禍で迅速な県政運営が求められるため、福岡県のことを良く知っている人物が良い
(2)知事が突然辞任するという緊急事態。任期を残しているので当然、小川県政を継承することが必要になる。知事選に名乗りを上げるための、いわゆる「大義名分」となる2箇条だ。具体的な名前こそ出さなかったものの、上記2つの条件を満たすのは、普通に考えれば小川知事の職務代理者を務めている服部誠太郎副知事(66)ということになる。
武田総務相が狙うは、自民党県連での下克上
現在、自民党が知事候補を絞り込むにあたっては、2人のキーパーソンの思惑が強く働くとみられている。1人目は武田良太・総務相(52/福岡11区)。宿敵・麻生太郎副総理(80/福岡8区)の影響力低下を尻目に、国政でも存在感を示す売り出し中の有力議員。選挙で苦労してきた分、権力への執着は他の議員以上だという。その武田氏に対抗するというより、自民党県連内での権力闘争にこだわっているのが、福岡県政のドン・藏内勇夫(いさお)県議・県連常任相談役(67)。
武田総務相は、候補者擁立で主導権を握ることで一気に福岡県連の掌握(下克上)を狙い、ひいては麻生副総理の力を削ぐ狙い。一方の藏内相談役は県連での影響力を残したまま、「県議が国会議員より上座に座る」自民党福岡県連内の力関係を維持したいところ。県議団が主導しての候補者擁立にこだわるゆえんだ。
フライング出馬宣言が波紋
武田総務相が後押しするとされる、元国交省局長・奥田哲也氏(59)。西日本新聞の取材に応じた奥田氏がフライング気味に出馬宣言ともとれる発言をし、「小川県政の継承」まで踏み込んだことについては、疑問の声が挙がっている。
「奥田氏の名前を聞くのも初めて。いくら福岡出身とはいえ、東大出の元官僚というだけで県知事候補として連れてくるのは強引すぎる。支えるはずの我々が、新聞で出馬宣言を知るのもどうなのか」(県政関係者)
「仮に分裂選挙になった場合、小川県政の継承を訴えやすいのは服部副知事。県民の支持も得て、負けることはない。ただし、衆院選を控えての分裂選挙は絶対に避けなければならない。すべては、この前提を基に動くことになる」(自民党県議)
【県政取材班】
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