「インバウンド消失」で伸びる海外ネット通販の意外なニーズ(後)
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写真を見て購入しやすいアパレルで先行
海外輸出代行サービス「WorldShopping BIZ」を展開する(株)ジグザグの代表取締役・仲里一義氏は、「詳しい説明がいらず、写真を見て購入を決めるアパレルで導入が先行し、ファッションビル大手では、コラボレーションアイテムの販売時に特設されるネット通販サイトなどにも利用されています。アパレルは知名度にかかわらず、購入されるケースが多いのです。コロナ前から導入している企業も多いですが、アパレル業界は横のつながりが広く、事例が共有されやすいために導入が進んでいます」と話す。
「WorldShopping BIZ」を使った購入数が多い国・地域は、1位が米国、2位が香港、3位が中国、4位が台湾だ。筆者は中国が1位ではないかと予想していたが、日本商品が幅広くそろう中国よりも、米国でのニーズが強い。その主な理由は、(1)現地在住のアジア系の人など、現地で合うサイズが見つからず買えないこと、(2)日本から直接買った方が、現地で輸入品を買うよりも安いことだという。
釣り具やマージャン、アート作品なども人気
世界的に見ても管理が行き届いている日本のリユース市場にも、「WorldShopping BIZ」の導入が進んでいる。保管状態や査定でも信憑性の高い日本の古着や中古楽器も海外需要がある。また、日本のアーティストの絵画や版画のほか、手づくり・クラフト雑貨のハンドメイド通販サイトでは、アクセサリーや陶芸作品などが購入されているという。
エンターテインメントも人気だ。たとえば、韓流アイドルの日本限定DVDなどは現地で買えず、希少価値が高い商品、アーティスト関連グッズ、フィギュアなども海外ファンの間で需要があり、日本のオンライン店舗を訪れる。釣り具や全自動麻雀卓などの趣味・嗜好品は、海外コミュニティーでメイドインジャパンならではの品質や物づくりが評判を呼び、購入されているようだ。
化粧品やサプリメントでも「WorldShopping BIZ」が導入されている。ただし、処方せんが必要な医薬品などの一部の商品は各国の法律や貿易規定上、取り扱っていない。「WorldShopping BIZ」には販売者向けに除外設定機能が備わっているので、海外販売しない商品を簡単に設定できる。
住所やメールアドレスなどの顧客情報はオンライン店舗側に渡らないため、購入者への直接のアプローチはできないが、国別・商品別などの購入動向の分析データを専用の管理画面で提供している。
日本語のネット通販店舗も約2~8%のサイトは、SNSや検索経由で海外からの訪問があるという。来日することが難しい状況のなかでも、海外から日本の商品を買いたいというニーズがあるようだ。
(了)
【石井 ゆかり】
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