自動車業界、車載半導体不足が深刻化(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
世界的な半導体不足を背景に、自動車に必要な「車載半導体」の需給がひっ迫。生産工場の操業停止を余儀なくされるなど、自動車業界に深刻な影響が出ている。米国・日本・韓国などの各国にとって、車載半導体の安定調達は重要課題であり、その対応に追われている。
車載半導体とは
スマートフォンやタブレット、パソコンなどのモバイル機器だけでなく、テレビやエアコンなどのデジタル家電にも欠かせない部品が半導体である。ところが、半導体は自動車の電動化とともに自動車への搭載が増加傾向にある。自動車に搭載されて、自動車の制御などに活用されている半導体を「車載半導体」という。
半導体はこのように自動車産業でも重要な位置を占めるようになっているが、今後、電気自動車(EV)や自動運転車が普及すれば、半導体の搭載がますます増加するのは必至。その結果、自動車は「半導体の塊」といわれる日もそう遠くないだろう。
車載半導体としては、自動車の基本動作を制御するマイコンをはじめ、電力や電圧の制御で電気自動車の中核部品であるパワー半導体、自動運転に欠かせないセンサーなどがある。現在の自動車(内燃機関車)には1台あたり300個ほどの半導体が搭載されているが、電気自動車になると600~900個に増える。さらに、自動運転車では2,000個くらいの車載半導体が必要になり、まさに「走る半導体」といっても過言ではない。
車載半導体市場の主なプレイヤーは5社しかない。車載半導体は高い信頼性と耐久性が要求され、開発に5年から10年の歳月がかかるため、参入障壁が高い。イギリスの市場調査会社オムディア社によると、車載半導体の世界シェアはNXP(オランダ)が 21%、 インフィニオン(ドイツ)が19%、ルネサス(日本)が15%、テキサスインスツルメンツ(米国)が14%、STマイクロン(スイス)が13%となっている。
半導体不足で操業停止に
需要が拡大している車載半導体であるが、半導体不足から自動車メーカー各社は減産や操業停止を迫られている。
韓国はメモリ半導体分野で世界トップシェアを占めているが、車載半導体については98%を輸入に依存している。半導体不足の現象は自動車業界に深刻な打撃を与え、半導体不足による操業中止や減産が相次いでいる。
現代自動車も半導体不足により、4月7日から1週間ほど蔚山(ウルサン)工場が操業停止となり、アサン工場も一時的に操業停止を余儀なくされた。これは韓国だけの話ではなく、米国、イギリス、中国、日本、ドイツなどでも発生している。今年6月には世界の自動車メーカーの減産規模は150万台に達すると見込みだ。
(つづく)
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