『日本弓道について』(1)
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今年5月に弓道の写真集を出版した。父を師として、42歳から弓を始め、弓歴は30年を過ぎた。弓を初めた頃から30年かけて撮影してきた、名人といわれる先生、弓道大会、弓にまつわる演武や祭などを載せた写真集だ。長年、弓を続けてきた者として、弓についてつづる。
弓について
人類における弓の歴史は、狩猟時代に食料を得るため、木の枝に石の鏃を付けて矢をつくり、しなりのある木の枝の繊維で弓の弦を作ったことが始まりではないかと筆者は考えている。弓を使った狩猟の様子が、福岡県筑紫野市原田の五郎丸古墳の壁画に描かれている。
弓に矢をつがえる方法は、地中海方式とモンゴリアン方式で異なる。洋弓は地中海方式で、矢を弓の左につがえる。地中海方式が発展したものが、アーチェリーだ。一方、モンゴリアン方式は弓の右側に矢をつがえる。つがえる方法を見ると、文化の違いがわかる。
弓は、武器としての価値はなくなったが、スポーツや文化として各国で現在まで伝わってきた。世界中で最も強いとされるモンゴルの弓は、動物の骨を材料に使い、筋力の弱い日本人ではとても弾けないほど強力であるようだ。草原で育った弓のため、飛距離も100m以上ととても長い。
日本の弓の特徴(和弓)
日本の弓は、古事記に梓弓(あずさゆみ)として登場するように、しなりの良いマユミの木などを材料にしていたようだ。
今では、弓の外側と内側は真竹を材料にしてつくられており、それぞれを合わせた竹のなかに、ヤマハゼやヤマザクラの木などを補強のためのヒゴとして使っている。そのヒゴも3枚、5枚と合わせて、さらに補強している。弓の外側の竹に7カ所、内側の竹に6カ所の節があり、それぞれに名前が付いている。
乾燥させた竹を接着剤で接合し、弓のかたちになるようにくさびを打ち込んでかたちを整える。弓師により方法は異なるが、基本は同じだ。
昔は、鹿や牛の皮、鱧(はも)、鮫などから抽出した天然のニベで接着していた「ニベ弓」であったが、現代は強度のあるボンドで接着しているようだ。
和弓の特徴は竹を使っていることであるが、現在では初心者、学生向けにカーボン、グラスファイバーの弓もある。和弓は標準で7尺3寸(221㎝)と長弓であり、使う人の背丈により少し長いものもある(1寸伸び、2寸伸び)。
なんと言っても、日本の弓は美しいことが最大の特徴だ。その中心は弓の中央になく、握り(弓の重心)が上から3分の2、下から3分の1の位置にあるため、握りを中心にした黄金比で、美しい弓となっている。
(つづく)
福岡地区弓道連盟会員
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