AIとITを最大限駆使 最新の住宅保守・メンテナンス事業に挑む(前)
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暮らしのデザイン(株) 代表取締役 高城 英一郎 氏
前職でDXを積極的に活用し、AIによる業務の高度化を推進した高城英一郎氏。高城氏は今年4月に「暮らしのデザイン(株)」を設立し、AIとITを最大限駆使した住宅保守メンテナンス事業を開始した。新たな事業の構築に挑戦する高城英一郎社長と、そのパートナーとして一緒に起業した(株)なかやしき取締役専務の中屋敷善太郎氏に話を聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)
新たな市場開拓へ
――新たなご出発から1カ月以上が経過しました。現在の心境をお聞かせください。
高城英一郎氏(以下、高城) まだ事業の基礎を築いているところですが、おかげさまで各所からお問い合わせをいただいています。心新たに前進していきます。私はまだ51歳なので、もう一勝負できると確信しています。そして、何よりも賛同と支援をしてくださった中屋敷善太郎さん((株)なかやしき取締役)のおかげで北九州市に拠点を構えることができました。
――新たな事業では、なかやしきと連携しているという話をうかがっています。
高城 そうです。なかやしきさんが自社アプリとして運用されている「うちラク」というサービスがあります。私はAIの本(「AI経営のリスクマネジメント」:日本経済新聞社)を共著で書きました。「なかやしきさんのシステム…もっと良いものに進化できたら」と。そして、善太郎さんと昨年12月にお会いして、「一緒にやらせてもらえませんか」と打診し、今回の運びとなりました。
――高城社長が以前から、きめ細かく人間関係を培われていた証ですね。
高城 ありがとうございます。善太郎さんは「住宅の保守メンテナンス関係は業界のなかで大きな課題の1つ」とおっしゃっていました。課題解決のためにアプリ「うちラク」を開発されたのです。そして、ITをよりいっそう活用するなかで、住宅メーカーさんの課題を解決する事業を立ち上げるために、善太郎さんとなかやしきさんと一緒に始めました。つまり、なかやしきさんのプラットフォームと拠点を提供していただき、4月からスタートしました。
中屋敷善太郎氏(以下、中屋敷) あくまでも暮らしのデザインは、B to B to Cであり、なかやしきは顧客となります。つまり、なかやしきは当社の1番目の顧客です。プロトタイプでなかやしきの課題を解決する保守、マスター、メンテナンスをアウトソーシングするスタイルです。我々住宅会社にとってもメリットがあります。一方、なかやしきの社内でスキームをつくって実践するには、やや無理があります。高城社長とご縁があって、高城社長の営業力に加え、真のITプロフェッショナルであるという判断です。決して男気だけじゃなく、経営として冷静に見させてもらいました。
AIのプロフェッショナルとして
――高城社長は以前からIT開発に携わっていたのですね。
高城 30歳までTDKの米国法人で勤務していました。ちょうどITの勃興期からITバブルが弾けるくらいまでをアメリカで経験し、勉強しました。そして、前職で170万人の顧客を管理するために、AI導入を進めていました。社内IT環境の整備をIBMと(株)安川電機と組んで、工場へのAI導入などを行いました。
――今回、中屋敷取締役と一緒に挑戦する事業についてお聞かせください。
高城 住宅メーカー全般の課題を解決するビジネスモデルで、今回の事業は市場の器が大きいです。コロナ禍により、今まで以上に家庭での生活がとても大事になってきました。お住まいの方々の声をきめ細かくうかがい、お困りごとをしっかりと解決していくことが大切になってきます。一方、住宅メーカーからは「電話がかかってきて、クレームで感情的に怒られる。精神的にもお互いに気分が良くない」などの声を聞きます。そこで、アプリケーションを使えば、お互い冷静になって課題を解決しようと前向きになれると考えました。前職に在職中、コールセンターで受ける内容を考察したところ、AIアプリケーションでワンクッション置くことがベストと思いました。感情論にならず、課題を解決することに集中できて、お客さまと住宅メーカーが幸せになります。当社が間に立ち、住まいの方々と住宅メーカーがハッピーになるモデルです。
――市場は無限にあるようですね。
高城 我々の事業は、住まいの方々の生涯にわたって、暮らしのなかでつくっていくものをお手伝いすることです。
中屋敷 住宅メーカーやビルダーは、新築の供給に全力を注ぎます。保守やアフターサービスを放置しているわけではないのですが、優先順位の一番は新築です。従いまして、保守・メンテナンスの問題解決へ向けた施策については課題だらけです。少しでも解決できるように自社でアプリを制作し、既存のお客さまにダウンロードしてもらい、2年半ほどお問い合わせをしてもらいました。その結果、相当数のお問い合わせがきました。今は電話でお問い合わせをする方は皆無です。一方、アプリによる送受信は、必ず翌日に返事がきます。さらに、写真を添付して送信していただけるなど、多くのメリットがあります。スマホの普及が進むなか、電話で話すよりも、スマホのアプリを活用するなどオンラインのコミュニケーションがメインです。買い物や予約などもそうですね。そうしたなか、住宅業界の問い合わせだけが、なぜ電話で行われるのでしょうか。課題の解決がうまくできてない業界であると改めて認識しました。解決策をつくっていけたら、必ず需要はあります。
(つづく)
【文:構成:河原 清明】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:高城 英一郎
所在地:北九州市小倉北区上到津2-3-9
設 立:2021年4月
資本金:5,000万円
<プロフィール>
高城 英一郎(たかぎ・えいいちろう)
1969年生まれ、福岡県大野城市出身。米ジョージ・ワシントン大学卒。TDK米国法人を経て、2000年国内浄水器メーカー入社。営業本部長、専務を歴任し、18年4月代表取締役社長。21年4月に暮らしのデザイン(株)を設立し、代表取締役に就任。関連記事
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