劇団わらび座公演「北斎マンガ」が示したミュージカルの底力
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万全のコロナ対策下400名が来場
劇団わらび座(秋田県、山川龍巳社長)は6月11日、アクロス福岡シンフォニーホールでミュージカル「北斎マンガ」(主催:(株)データ・マックス)の公演を昼夜2回にわたり実施した。
「北斎マンガ」は、晩年に「猫一匹うまく描けない」と絵筆を投げ出して泣き出したというほど、生涯にわたり絵画への向上心を持ち続けた一方、絵を描く以外は何もできない葛飾北斎の芸術家人生を描いたもの。献身的な妻おことや絵画が好きで破天荒な性格が北斎そっくりな娘お栄など、登場人物の絶妙な掛け合いで一気に物語を進める圧巻の物語。データ・マックス主催の講演はこれで4回目となるが、来場者からは「これまでの作品にも増して見入った」と作品の魅力が語られた。コロナ下により今公演では入場制限を余儀なくされ、演者との写真撮影も叶わなかったが、観劇した約400名の来場者からは早くも次回公演を期待する声が聞かれた。
観客の反応が示した完成度
昼の部は、(学)立花学園(福岡市東区)の生徒、教師ら約100名が観劇。わらび座演者の熱演に呼応するように、ヘッドバンキング(リズムに合わせて激しく頭を振るさま)をする女子高生も。観劇が終わり、生徒らを見送る筆者の目には、入場受付時にみた子どもたちの顔と終演後のそれはまったく違うように見えた。満足感、感動している気持ちがすごく伝わってきた。
立花学園齋藤眞人校長は「わが校の指導モットーでは、『キチンと聞きなさい』などと強要しません。にもかかわらず、生徒たちがものすごい集中力で観劇していたことに驚きました。ミュージカルの内容が素晴らしく出演者の方と生徒たち双方がつくりあげた、とても心地よい空間でした。高校生相手に全身全霊で演じて頂いたことに感謝申し上げます」と語っている。
夜の部では、昼の公演の終了前(夜の部開演、約3時間前)から並んでいる男性の姿が・・・。列の整理をしていた筆者の印象に強く残っていた。公演の後、その男性が筆者に近寄り「今日の朝一番で茨城県から来ました。わらび座の大ファンです。コロナ自粛で公演が中止、延期となるなか、よくぞ今日の公演の主催をしていただき、ありがとうございました。本当にうれしいです」と観劇の興奮もそのまま、熱い思いを伝えてくれた。そのほかにも、今回で4回目となる当社主催わらび座公演に毎回観劇に訪れる観客からも「今日の演目はとくに感激した」などの声も多く聞かれた。
コロナ禍のなか、多くの公演やイベントが延期、中止となっている。福岡県においても6月20日まで緊急事態宣言が出されている。そのようななかでも、終演後の演者や観客の方々の顔をみると、今日の公演を主催した意味がたしかにあったと、強く感じた。
【内山 義之】
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