2024年12月04日( 水 )

海の「情報ハイウェイ」、海底ケーブル(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 世界各国は2050年までに「カーボンニュートラル」を実現する手段として、洋上風力の導入を急いでいる。洋上風力発電により海上で発電した電気を陸地まで送電するためには海底ケーブルが必要となることなどの要因により、海底ケーブルの需要が急激に伸びており、その市場は活況を呈している。今回は、海底ケーブルの市場動向を取り上げたい。

海底ケーブル市場の動向

洋上風力発電 イメージ 現在、世界では計406本の海底ケーブルがある。延べ120万km、およそ地球30周分もの長さの海底ケーブルが張りめぐらされていることに加えて、今でも世界の15カ所で100億円以上の規模の海底ケーブルの敷設工事が進められている。

 韓国政府は、2030年までに約13GWの洋上風力を建設する予定である。ヨーロッパの洋上風力の建設はほぼピークを迎えているが、アジアの風力市場が拡大するのはこれからだ。

 海底ケーブルは運搬費用が高いため、アジアで必要になる場合にはアジア系企業が有利となる。海底ケーブルを設置するときは、50kmのケーブルを生産して海にもっていき、そこで2本を繋いで100kmのケーブルにする。ケーブルをつなぐ時に技術が必要であり、ここでミスが発生すると、送電時に電力ロスが発生する。50kmのケーブルに1か所でも問題があると、50kmの電線すべてを破棄することになる。

 工場で生産された海底ケーブルは船で敷設地点まで運ばれ、水中ロボットで海のなかに敷設される。水中ロボットは海底に溝を掘り、ケーブルを敷いた後、コンクリートまたは砂利をケーブルにかぶせる。

 このように敷設された海底ケーブルにも故障や損傷が発生する。海底ケーブルの損傷または故障の約7割は水深200m以内で発生しており、船または漁業が原因だ。深海で発生する地震やサメの攻撃による損傷もまれにある。世界で海底ケーブルの製造・敷設ができる会社は、ネクサンス(仏)、プリズミアン(伊)、住友電工(日)、LS電線(韓)などがある。

韓国海底ケーブル企業の躍進

 韓国を代表する海底ケーブル会社は、LS電線だ。LS電線は08年に海底ケーブル事業に参入した後発組である。しかし、その後、弛まぬ技術開発と努力によって、世界の海底ケーブル企業4社の一角を占めるほどに成長している。

 LS電線は台湾政府が25年まで推進する1次洋上風力事業の超高圧海底ケーブルの供給権を取得し、オランダ、バーレーン、米国などで合計300億円を上回る大型受注にも成功している。海外の受注が相次ぎ、今後4年間分の受注が確定しているようだ。今年の売上高は約5兆ウォン(約4,917億円)、営業利益も2,000億ウォン(約196億円)以上が見込まれている。とくに、アジア市場で洋上風力事業が増えていけば、最もその恩恵に預かる企業になるだろう。

 海底ケーブルはデータ通信の時代には欠かせないものであり、米国は海底ケーブルの敷設において中国企業を排除するなど、データのセキュリティ確保のためにも海底ケーブルをめぐる問題は、米中の新しい激戦場になりつつある。

(了)

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