2024年11月23日( 土 )

2030年、太陽光発電が原発よりも安価に~経産省が初の逆転となるコスト試算を発表

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太陽光発電 イメージ 再生可能エネルギーである太陽光発電の2030年時点のコストが原発よりも安くなるという試算が12日、経済産業省総合資源エネルギー調査会のワーキンググループで発表された。これまでの政府の発表では、原発のコストは再エネよりも安いとされてきたため、今回の発表は再エネ推進に向けた大きな政策転換となり得る。

 30年時点の試算によると、1kWhあたりの太陽光(事業用)コストは8円台前半~11円台後半となり、原発の11円台後半よりも安い。どの電源に政策の力点を置くかという30年に向けたエネルギー政策の議論において、この試算を参考材料にするとしており、今夏に発表される予定の次期エネルギー基本計画にも、再エネへの転換方針が反映されると予想される。

 今回の試算は発電所を新たに建設・運転した場合の費用で、太陽光発電(事業用)の稼働年数を25年、想定規模を250kW、原子力発電の稼働年数を40年としている。そのため、既存の発電所の運用に対する政府の方針に、今回の試算がどこまで反映されるのかは不透明だ。

 20年の日本の太陽光発電(事業用)の設備費13万円/kWは、世界各国の設備費平均6.5万円の約2倍となっている。今回の試算では、日本の設備費は30年に9.4円/kWまで低下しつつも、30年の世界各国平均4.4万円/kWよりも高価格であるという前提で計算されているが、もし国際競争などにより日本も設備費が大幅に低下した場合には、8円台前半~11円台後半よりもコストが下がる可能性もあるだろう。

 また、陸上風力発電のコストは20年の19円台後半から、30年には量産効果により建設費(設備費含む)が9円台後半から17円台前半に下がると試算されている。一方、洋上風力発電のコストは20年の30円台前半(着床式と浮体式)から30年には26円台前半(浮体式)に低下するが、ほかの電源と比べてコストは高い。洋上風力発電(着床式)は促進地域で事業が開始されるのが30年ごろと見込まれているため、国内で普及するのは約10年後になるが、主力電源として用いるうえではコスト低下が必要となるだろう。

 今回の試算では、小水力、中水力、地熱、バイオマス(専燃)発電の30年時点のコスト試算は20年時点と変わらないとしている。

【石井 ゆかり】

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